子供の頃からバリダンスにあこがれて

二宮さんがバリダンスを初めて見たのは小学校の頃で、テレビ番組で紹介された映像に目が釘付けになり、いつか絶対踊りたいと心に誓ったそうだ。中学の頃には、インドネシアのペンパルから送ってもらったガムランのカセットテープを聴きながら、毎日を過ごしたという。
日本からイギリスへ渡り、バレエをはじめ、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど様々な分野で活動を続けてきた二宮さん。バリダンスの夢は、移住したトロントでバリ島出身のダンスの先生に出会い、実現することとなった。現在ではバリダンスの公演を各所で開くとともに、そのレッスンも行っている。

 

本格的なガムランをバンクーバーで

ガムランはインドネシアに広く伝わる民族音楽で、その独特のメロディから日本でも愛好者が多く広く知られている。ヒーリングミュージックとしても脚光を浴びているが「バリ島のガムランは少し違って、力強さがあるんです」と二宮さんはその特徴を説明してくれた。
バンクーバーが活動拠点のギタ・アスマラは、もとはブリティッシュコロンビア大学の民俗音楽学の中で編成されたグループだったが、2001年に大学から独立、カリキュラムの制約から離れて演奏活動を開始した。バリ島で活躍する音楽家、作曲家、ダンサーから直接指導を得るなど、本格的なバリ島の音楽と踊りの習得に余念がない。ちなみにグループ名のギタ・アスマラはインドネシア語で『愛の歌』を意味する。
同グループをまとめるマイケル・テンザーさんは作曲家であり、また同大学の音楽教授である。ガムランに関する著作も2冊あり、北米でのガムラン音楽に関する第一人者だ。

 

力強い独特のメロディに包まれる

ンサートは伝統的な作品からマイケル・テンザーさん作曲のコンテンポラリーのものまで用意され、最初から最後まで聴衆の耳目を釘付けにした。また音楽監督のイ・ワヤン・スディラナさんが、ガムランを構成する各楽器の紹介したり、ひとつの曲をそれぞれの楽器のメロディごとに分解してその複雑なリズムとメロディがどうやって成り立っているのかを説明するコーナーでは、客席からも質問が相次ぎ、ガムランの奥深さを垣間見ることができた。
構成する楽器がほとんど金属打楽器ということもあり、演奏が最高潮に達するとハードロックのコンサートにも引けをとらない音楽の渦がホールを揺るがす。その一方で二宮さんらの踊りは、決してそのエネルギーを外に発散するような激しい動きではなく、たとえば指先や目の動きなど、細かい部分まで調和の取れた滑らかな動きで音楽を受け止めている。そこから、バリダンスの独特の動きが生まれるように記者の目には映った。
なお、ギタ・アスマラと二宮さんは今月、バリ島で公演を行う予定だ。

 

取材 平野直樹

 

二宮恵子さんのウェブサイト:http://www.keiko.ca/

ギタ・アスマラのウェブサイト:http://www.gitaasmara.ca/gga/Home.html

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