2017年8月17日 第33号

ベニザケ(婚姻色になる前の銀色)をナイスキャッチ

 

今年も7月13日からアラスカのカトマイ国立公園ブルックスフォールズ(以下BF)へ4泊でグリズリーベアーの撮影に出かけた。同行は秋田県大館のTさん(84歳)とその姪御のKさん。昨年と同じメンバーだ。お二人とも撮影暦は長く、カメラの設定などを親切に教えてくれるので心強い。成田からのエアカナダ便でバンクーバーに到着の二人と米国の入国・通関をすませたところで落ち合い、アンカレッジ行きのフライトに乗り込む。せっかく進行方向右側の窓際に席を取ったのに、あいにくの曇り空。それでもアンカレッジ到着の30分前くらいから晴れ間がのぞきはじめる。

 

撮影初日

 BFにも宿泊設備はあるが、予約開始後すぐ売切れてしまうので、我々は同地行きの水上飛行機が発着するキングサーモン(以下KS)のB&Bに宿泊する。去年も同じ宿だったので茹でたタラバガニの足とキングサーモンとベニザケの腹身のBBQを毎夕食用意しておいてもらう。さらに地元で一番の名人が作るスモークサーモンもありこれまた絶品。翌朝は7時発の水上飛行機でBFへ向かうことになっていたが天候不良で出発が2時間半遅れる。さらに滝のあるクマの撮影地へ向かうトレイルにかかる橋のところに親仔連れが何組かいて待たされる。結局この日は橋を渡ることができず、手前の川とナクネックレイクの湖岸にいるクマの撮影だけで終わる。

 

撮影2日目

 この日は水上飛行機を運行するカトマイエアーが我々をピックアップするのを忘れ、鍵がついたまま置かれていた宿のバンを無断借用して水上飛行機の乗り場へ行く。8時半の出発でBFへ。昼食をフードキャッシェに預けて滝のところへ向かう。この日も橋の手前で30分ほど待たされ、やっとクマが移動してくれたので滝のところへ行ける。イライラしながらトレイルを歩いていたら2年目の仔連れの母グマに接近遭遇。草丈が長いのとトレイルが曲がりくねっているので気づいた時は20メートル以内。こちらに向かって歩いてくるので、やり過ごすためトレイルからはずれたところ、仔グマがこちらに向かってくるではないか!大声でNO!と叫ぶと母グマの方へ走り去っていった。そしてその母グマがトレイル脇の木に背中をこすりつけはじめた。いままでアメリカクロクマも含めて何度もクマは見たが、匂いつけを見るのは初めて!興奮しながらシャッターを切った。

 滝のところの撮影場所にやっと到着。しかしクマが滝の上になかなか現れてくれない。滝の上に来ても水の落ち際まで来ないのでこれでは口で鮭をキャッチするシーンが撮れない。45分ほど待って、もう一頭がやっと水際のところに立ってくれる。高く跳んだ鮭をナイスキャッチした写真がとうとう撮れた。この撮影場所は人気の撮影スポットで1時間すると名前を呼ばれ、手前の撮影場所に移動しないといけない。このクマがキャッチする直前、レンジャーが交替しないといけない人の名前を呼んだので、ほとんどの人が後ろを振り向き、この絶好の機会をのがしてしまった。

 帰り道、丈の高い草叢で戯れる仔グマ3頭と母グマを発見。撮影していたらトレイルにいる我々の方に仔グマ2頭が向かってきた。バックパックを降ろして撮影していたら、ランチが入っていた匂いが残っていたのか私のバッグに近づいてきた。あわてて大声でNO!と叫んだら2頭とも退散してくれた。その距離10メートル弱。危なかった!この#128Grazerは去年も出会ったファミリー。一年目の去年は可愛かった(とくに一番のオチビちゃんは冬が越せるのだろうかと心配になるほど小さかった)が大きく成長していた。

 

撮影3日目

 この日はすんなり滝のところへ行けるがクマは滝の上に立っても鮭が掴まえられず、3日間で鮭をキャッチするクマが見られたのは2日目の一度だけ。このワンチャンスをものに出来たのが嬉しい! 帰りも橋のところで足止めをくらい、レンジャーがエスコートしてくれやっと橋を越える。トレイルで仔連れが寝ているので湖岸の砂浜を歩いて水上飛行機のところへ行く。砂さし嘴で2頭の仔グマがすもうをとったり、走っている姿を目撃。可愛かった。

 

フェアーウェザー山脈から流れ出す氷河

 

母グマの背こすり

 

私のバッグに向かってきた2年目の仔グマ(でも指の爪は長く鋭い)

 

オッパイを飲んだ後昼寝をする#128Grazerファミリー(2016年撮影)

 

すもうをとる仔グマ

 

おっかけっこをする仔グマ

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。