2019年12月19日 第51号

みなさん、こんにちは。あっという間に師走です。今年も残りわずかですね。みなさんにとって2019年はどのような1年だったでしょうか? 今日は、年の瀬ということもあり、今年1年をいつもとはちょっと違う方法で振り返ってみましょう。

 みなさんは、セルフ・コンパッションという言葉を聞いたことがありますか。セルフ・コンパッションとは、自己肯定感(セルフ・エスティーム)の、「あるがままの自分を大切にする」という視点と似ています。ただセルフ・コンパッションは、自己肯定感のように、判断的な評価(肯定感が高い・低い)は一切なく、ただシンプルに、あるがままの自分自身に優しさと理解でもって寄り添い、受け入れることです。今年の振り返りは、このセルフ・コンパッションを用いて、自分自身にそっと寄り添ってみましょう。

イメージ瞑想

 すわり心地の良い椅子に座り、自分の身体が椅子に支えられている感覚と、足がしっかりと地面についている、グランディングの感覚で、身体を感じてみてください。そして、そこからゆっくりと深い呼吸をしてみてください。

 ゆったりとした感覚になったら、この1年を1月から今日まで、1カ月ごとをゆっくりと思い出しながら、身体の感覚に興味を持ってみましょう。何も感じなくても大丈夫です。印象的なことがない場合もあります。体の感覚より、何かを思い出すかもしれません。その感覚や思い出を感じている時、心は軽くなりますか? 重くなりますか? 明るいですか? 暗いですか? まずは明るい部分に注目してみてください。

 明るい気持ちや幸せな思い出が出てきたら、その部分にしばらく寄り添い、しっかりと感じてみてください。それがどんな色なのか、そしてそれを感じた時に身体はどんな感覚なのか。何かイメージは浮かびますか? また一番初めに浮かんだ言葉はどんな言葉でしょうか。その感覚と言葉を胸に刻んで、しばらく味わっていましょう。

 次に1年の中で、暗い感じや嫌な出来事を思い出した場合。体のどこかに緊張感や硬さを感じるか探ってみましょう。そして、明るい気持ちを感じた時の感覚を用いて、そっとその部分に寄り添ってみましょう。自分が安心できる言葉があれば投げかけてみてください。もしも言葉が出てこなかった場合、このように想像してもいいでしょう。もしもあなたのお友達やお子さんが体験したことだったら、あなたが投げかける優しい言葉はどんなものでしょう? その言葉をご自身にも是非。

 そして最後に、今あなたが一番求めているものはなんでしょう。また特に暗い部分は、どんなことをしてもらえば癒されるでしょうか? 人間には、普遍的な望みがあります。それは、理解されること、認められること、受け入れられること、つながり、帰属、平和、安全・安心感、創造性、愛、希望、意味と目的です。この中で、今のあなた自身の望み、また痛みやネガティブな感情や不満が求めているものはありますか? 探してみてください。そしてセルフ・コンパッションで「〇〇が必要なんだね…」と自分自身を心で抱きしめてみましょう(瞑想をしながら、胸とお腹に、片手ずつ同時にそっと手を当てるのもおススメです)。

 この1年、あなたは十分頑張りました。

 平和と愛のスペースが心に広がりますように…

 Happy Holiday & 良いお年を迎えください。

 

Self-Compassion リソース
Kristin Neffガイド瞑想(英語)
https://self-compassion.org/category/exercises/#guided-meditations

 

 


加藤夕貴
MA, RCC ((BC州認定臨床心理療法士)、認定表現アーツセラピスト  想像して創造する遊びの中で、気づきと心の成長を促す、表現アーツセラピーを中心に、バンクーバーと日本で心理カウンセリングやワークショップを行なっている。

HP:http://www.youkikato.com/japanese.html

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。