2017年9月14日 第37号

毎年、バンクーバー・イングリッシュベイでの花火大会が終わると、ダウンタウンでは徐々に秋の装いが進んでいく傾向にありますが、今年はすでにBC州ポートムーディー(Port Moody)近辺では紅葉が始まり、ケベック(Quebec)州近辺では雪が降るなど、秋の気配よりも冬の気配を感じるカナダです。いつもなら川をのぼって産卵を始めるサーモンの数までが減り、BC州の北部では今でも山火事が絶え間なくおこり、アメリカでもハリケーンや洪水などの被害が続き、世界各国からの自然災害のニュースをよく聞きます。どの自然災害も地球温暖化が原因であるといわれています。

 

地球温暖化は、いったいどのように私たちの生活に、影響を起こしているのでしょうか。

 地球の温暖化は地球全体の気温や水温を変化させるため、南極や北極の氷河が解けて海水面が上昇します。そのため降水量に変化が起こり、洪水や、酷暑やハリケーンなどの激しい異常気象を増加・増強させ、ついにはゲリラ豪雨や長期の雨を降らせたりと、いろいろな天気のパターン変化を引き起こすといわれています。

 それにともない、海洋面の上昇は生物のライフサイクルに必要な微生物の繁殖を極端に減少させたりするため、大規模な大型海洋生物絶滅の可能性も指摘されています。実際にサーモンの数が減少しているということは、それを食する大型海洋生物の数にも何らかの影響が起こっていると考えられます。

 

なぜ地球温暖化が始まってしまったのでしょうか。

 人間が地球で生きていくにあたり、機械や電気の原動力であるエネルギー(石炭・石油・ガス)を作る必要があり、それを作る過程に一緒にできる二酸化炭素などを含む温室効果ガスが著しく増加していることが原因です。温室効果ガスといわれているだけあり、太陽光をそのまま通し地表面を温めるため、地球上を温室のように温め、温度を留めてしまうのです。

 

それでは私たちはいったい、これからも進んでいく温暖化に関して何ができるのでしょうか。

 エネルギーを作らない? 使わない? どれだけがんばっても全てをやめてしまうことは難しく、すでに今まで作ってきた温室効果ガスの量が多いことと、地球上に停滞する時間が長く、温室効果ガスが減ったり、なくなったりすることがないため、常に温暖化とは戦わなくてはいけないことになります。そのため、できるだけ使わないようにする、燃料からエネルギーを作るのではなく自然から作るということが目標になります。車に乗るのをやめ、バスや電車、自転車などを使う、余分な電気は使わず消す、二酸化炭素を減らすために多くの植物を植える、風車や太陽光パネルによりエネルギー確保を行うなど、さまざまな取り組みがあります。 

 最後に…、ここ最近、バンクーバー市内にGreen Roadと呼ばれる自転車用道路があちこちで作られています。それに加え、自転車のシェアスタンドや数多くのバイカーの通勤者も増えてきました。朝も夜も車道を勢いよく走り抜けるバイカーをよく見かけます。車から自転車へ…。カナダ人の温暖化への試み、行動力は大変素晴らしいと思いますが、自転車は車と同じ交通ルールで運転しなくてはいけないことを忘れている人が多いのではないでしょうか。なかには歩道を我が物顔で運転し、車との共有道路という態度で運転せず、小さい子供が通る通学路でもストップマークで止まらず、坂道でもスピードを落とさず、勢いよく飛び出してきたりして、人か車かどちらかとの接触事故を常に気にしなくてはいけないようなバイカーが多くいるのが現状です。個人的に交通規制を全く守っていないバイカーたちを、温暖化のために貢献している素晴らしい人たちと比較して、尊敬することはできませんが、自分が何か温暖化のためにできることがあれば、きちんとルールを守り、小さなことからでも温暖化のためにやれることを実行に移してほしいと思います。あなたにも今日からできる温暖化への取り組み、何かありますか?

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。