2018年9月6日 第36号

 予定日が近づいてくると、大きくなったお腹を摩りながら、パパに似た子かな〜、ずーっと私のお腹に居て、私が育てたんだから、絶対にママに似てる!…お腹が痛いくらい良く動くから、もしかしたら、パパに似てるのかな〜…と思ってみたり、…また、ある時には、陣痛ってどんなに痛いんだろう、我慢できるかな〜、私に産めるかな〜、赤ちゃんも頑張れるかな〜、…など、期待に溢れていても、チョットだけ不安が入り混じった毎日を過ごす方も多いと思います。初産の方でも、二度目でも、何回目でも皆さん同じ様に不安と期待が入り混じるのです。でも、心配など全く有りません。周りの人達をご覧になって下さい!貴女を産んでくれたママも貴女のお友達も、皆さん同じです。道行く貴女の知らない人達も、小さな子供の手を引いて笑顔で楽しそうに歩いています。時には、三人も四人も御子さんずれのご夫婦を見かけたりしますでしょう?!みんな、み〜んな、何もなかった様でしょ?!貴方も絶対大丈夫です!元気な赤ちゃんに恵まれます!!…でも、もしも、陣痛が来ないとなると、また、困るのです!陣痛が来ない限り、お産にはならないからです。 

 陣痛が来なくて、そのまま予定日が過ぎると、次第に胎盤の機能が低下することが多く、赤ちゃんにとっては決して良い環境とは言えなくなってしまいます。その為に、時としては、危険を回避する為に陣痛を待つのではなく、陣痛を誘導する必要がでてきます(計画分娩とも呼ばれています)。誘導方法には、様々な方法が有りますが、勿論、貴女に一番適した方法が選択されます。その必要性や具体的な方法に関しては、主治医をはじめ、医療関係者の方々の意見や指示を得ることが、勿論、大切な事です。未来を生きる小さな生命、でも、限りなく重い生命に、全身全霊を傾けて、最も適切な方法を見出して頂けますよ!絶対に!新しい生命、輝く生命を迎える素晴らしい日はもうすぐです!貴女は、出来る範囲で頑張れば良いのです。

 視点を変えて、東洋医学的に見てみましょう。多くの場合、三つの要因を考慮する必要が有ると思います。一つには、妊婦さんの体質が虚弱気味で、陣痛発来に至らない気血両虚(きけつりょうきょ)。二つ目には、過度な緊張(恐怖や不安などを含む)などによって、本来全身に隈(くま)なく、滞りなく行き渡る“気”の流れが滞る気滞(きたい)状態、三つ目には、気滞に加えて“血(けつ)”の滞りも生じ血瘀(けつお)、気も血も滞ってしまう気滞血瘀(きたいけつお)状態です。今回は、耳慣れない言葉が多く、理解しにくいかもしれませんが、勇気、元気、活気、…など“気”の文字が入った言葉には、目には見えないながらも身体に流れる“エネルギー”が感じられます。これら、目には見えないながら、全身を滞りなく 身体の隅々まで行き渡る身体の“エネルギー”を“気”と一文字で表現します。身体の状態を把握する弁証法の一つで、気血弁証(きけつべんしょう)、あるいは気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)と呼ばれています。弁証法は多くの方法が有りますが、そのうちの一つと思って下さい。分かり難い文章なのに、ここまで読んで下さって有難うございます。

 日頃、使わない言葉なので、理解しにくかった事でしょう。でも、もう少しだけ、頑張って読んでみて下さい!!残る紙面が少なくなってきましたので、結論を急ぎましょう。これら三つのどれかが弁証できれば、治療法を導き出す事が可能となります。ここでも、四診(ししん)の所見によって、弁証がなされますので、脈の状態に加えて、皮膚の状態(お顔の状態)、舌の状態から身体の状態を推察しますので、過度な化粧や、着色料を含んだ食べ物は、避けたいですね。

 


杉原 義信(すぎはら よしのぶ)

1948年横浜市生まれ。名古屋市立大学卒業後慶応大学病院、東海大学病院、東海大学大磯病院を経て、杉原産婦人科医院を開設。 妊娠・出産や婦人科疾患を主体に地域医療に従事。2009年1月、大自然に抱かれたカナダ・バンクーバーに遊学。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。