2020年3月5日 第10号

 カナダ国内での新型コロナウイルス(COVID- 19)感染者が増え続けている。ブリティッシュ・コロンビア州では3月3日、新たに4人の感染が確認されたと発表した。この日の午前中に1人の感染を発表した後、午後に新たに3人の感染を確認したと2度の記者会見を開く事態になった。BC州では2月29日に8人目の感染が確認されて以降、3日間は感染者が出ていなかった。

 この日記者会見したBC州衛生保健局長ボニー・ヘンリー博士は、BC州での感染拡大の危険は依然として低いとしながらも、予防のための対策を十分取るように呼びかけた。

 まずは手洗い。記者会見では「ハラぺーニョを触った手を洗うくらい」しっかりと洗うことと笑って説明した。さらに咳をする時は手ではなく腕で口を塞ぐこと、手を顔の周りに持っていかないことなどの基本的な予防策に加え、あいさつするときには握手やハグを控えたり、さまざまな物の表面をあまり触らないようにしたり、除菌用ローションを持ち歩いたりと、なるべくウイルスや菌を移さない行動を取るよう心がけてほしいと語った。

 BC州ではイランへの渡航者が感染している事例が相次いでいることから、今月はイランコミュニティにとっては新年を迎える時期となるが、風邪などの症状がある場合は人ごみに出かけないようにと呼びかけた。

 また南隣アメリカ・ワシントン州で死亡者が出るほどの感染拡大となっているが、注意は強化するが国境を閉鎖することはないと説明した。

 オンタリオ州でも感染者が相次いでいる。週末から急増し、3月3日にも新たに2人の感染が確認され20人となった。オンタリオ州では、イラン以外にエジプトからの帰国者も3人の感染が確認されている。エジプトでの感染者が2人と発表されていることから、オンタリオ州保健省は今後も注視すると語った。

 ジャスティン・トルドー首相はこの日の記者会見で、カナダでの感染拡大の危険性は依然として低いと改めて強調した。対応は各州の医療保健機関が担当しているが、連邦政府としてもできる限りの支援をして州と協力して、この困難を乗り切っていくと語った。

 カナダ外務省は海外渡航情報を更新し、中国以外に、イラン、イタリア北部、韓国テグ市とチョングド郡への渡航を「不要不急の渡航を控える」レベル3に、日本は「注意力を高く持って行動する」レベル2に引き上げた。

 海外からカナダへの入国については変わらず制限を設けていないが、中国湖北省に続き、イランから帰国した場合も症状の有無にかかわらず14日間の自己隔離を実施するよう義務付けることを発表した。その他の国から帰国した場合でも14日間は自分の体調に注意し、症状が出た場合は811か近くの医療保健機関に連絡するよう呼びかけた。

 3月3日時点でカナダでの感染者は、BC州12人、オンタリオ州20人、ケベック州1人となっている。

 

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