2020年2月27日 第9号

 ジャスティン・トルドー首相が記者会見してから3日後の24日、オンタリオ州警察は同州ベルビル近くでバリケードを張っているティエンディナガ・モホーク族に対して強制撤去を執行した。警察とデモ隊がもみ合う場面もあったが、重傷者を出すことなく撤去作業が進められた。

 撤去された後、モホーク族はオンタリオ州警察のやり方に不満を示した。これまで警察が強制撤去に踏み切らなかった理由に、過去の苦い経験があるという。先住民族と政府は過去に何度も土地を巡って衝突し、警察の介入で、これまでに警察も先住民族も死者を出している。

 24日に強制撤去が執行された時もカナダ全体が固唾を呑んで事態を見守り、トルドー首相は「平和的な解決を望む」と語っている。

 ティエンディナガ・モホーク族のバリケードが撤去されたことで、CNレールが運行再開に向け準備を進めている。VIAレールはすでにオンタリオ州、ケベック州の一部で運行を再開している。

 しかし、オンタリオ州警察が強制撤去に踏み切ったことを不満とする支援者たちが全国各地でデモを続行している。オンタリオ州では24日夜からトロントの南部ハミルトン市近くでCNレールの線路をデモ隊が占拠。オンタリオ州南部とトロントを結ぶGO列車が運休となった。

 ケベック州ではカナワケ・モホーク族が変わらずデモを続けている。ブリティッシュ・コロンビア州では、州議事堂の出入り口で24日から座り込みが続いている。バンクーバーでは公共交通機関ウエストコーストエキスプレスが24日夕方に全便運休、バンクーバー港に続く道路もデモ隊が封鎖した。BC州中西部でも再び鉄道にバリケードが張られるなど、トルドー首相の呼びかけに応じた警察の行動に反発したデモ隊が各地でデモを決行。収まる気配を見せていない。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。