2020年2月20日 第8号

 カナダで急増している税務署を装う詐欺事件を受け、連邦警察はタックスリターンの申告が始まるこの時期から詐欺の手口に注意をするよう、今月9日に改めて呼びかけた。

 年々手口が巧妙になっているとして、個人情報をたずねる電話には対応しないこと、郵便受けを常に空の状態にしておくことを心がけるよう呼びかけた。郵便受けがいっぱいになっていると重要な情報が記載された郵便物を盗まれやすくなり、個人情報を利用されるという。

 税務署を装う電話詐欺は、提訴や逮捕などの脅し文句を使い支払いを求めてくる。警察は税務署が電話で支払いを求めてくることはないため絶対に対応しないこと、被害にあった場合は、警察やカナダ不正防止センターへの報告を徹底するよう改めて強調した。

 連邦警察は14日、税務署を装う電話詐欺に関わっていたオンタリオ州ブランプトン在住の2人を12日に逮捕したと発表した。逮捕されたのは、グリンダプリート・ダリワル容疑者(37)とインダープリート・ダリワル容疑者(36)。カナダからインドに送金する仲介人「マネー・ミュール」という役割をしていたという。3人目の26歳も現在捜索中だが、すでにインドに逃げている可能性も高いと発表した。

 警察によると、2018年から電話詐欺による被害を食い止めるための特別プロジェクトを編成。連邦警察だけでなく、州警察、カナダ歳入庁、カナダ国境サービス庁、インドに派遣した連邦警察官、さらにはインドとアメリカの協力も得て、今回の逮捕にこぎつけたという。国民への情報提供と注意喚起を徹底し、インドではすでに39カ所のコールセンターを摘発。2018年から被害額は減少していると成果を語った。

 2014年から活発になった税務署や連邦警察など公的機関を装う詐欺の手口で、これまでに1680万ドルの被害が出ていると発表。さらにその他の銀行調査員やITサポートなどを装う詐欺も含めると被害額は3千万ドル以上という。

 ただ2018年の被害は640万ドル、2019年には140万ドルに減少したと報告している。

 

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