2020年1月30日 第5号

 カナダで初の新型コロナウイルス感染者が出たことが26日、分かった。

 感染者が出たのはオンタリオ州トロント。25日にオンタリオ州保健省が感染の可能性を公表。州の検査で陽性が認められ、27日に連邦検査機関の検査で感染を確認した。

 オンタリオ州政府によると感染したのは50代の男性で、中国・武漢を訪問して中国からの直行便で22日にトロントに帰国。翌日呼吸器系障害のような症状が認められたため、病院で治療したと説明した。27日には男性の妻も感染が認められたが発症はしていないという。男性は入院しているが、妻は入院せず自主的に隔離して医療機関が観察していると発表している。

 さらに夫妻が搭乗した中国からの便に同乗し、近くにいた可能性のある乗客に連絡を取っているとも語った。

 カナダでは2002年、03年に大流行したサーズを彷彿とさせるため、国民には動揺する声も聞こえる。連邦政府パティ・ハイデュ保健相は、カナダ政府、各州政府、市町村、全国の医療機関が連携して情報を共有し万全の準備をしていると、26日の記者会見で語った。

 サーズでは、カナダは44人の死者を出している。アジア以外でこれだけの犠牲者を出したのはカナダだけとされている。

 専門家は今後もカナダ国内で感染者が出ると予想されるが、大流行する可能性は低いとの見解を示している。27日時点でカナダ国内では19人に感染の疑いがあるとして調査中と発表している。

 カナダ政府は27日、中国・湖北省への渡航を中止する勧告を発表した。

 国内の3空港、バンクーバー、トロント、モントリオールで、到着ロビーの電光掲示板にインフルエンザのような症状がある渡航者は国境サービス庁職員に申し出るよう注意を促している。

 25日には春節を迎え、中国系移民の多いカナダでは中国の正月を祝うイベントが多く予定されたが、今回の新型コロナウイルスの広がりを受け、イベントの縮小などの動きが相次いだ。

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは、サレーやラングレーで26日に予定されていたイベントが中止となったほか、中華街でのチャイニーズ・ニューイヤー・パレードでも参加予定団体の参加取り止めに配慮するなどの動きが見られた。パレードは予定通り決行され、大勢の人が見学に訪れ新年を祝っていた。

 

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