2019年8月22日 第34号

 元新民主党(NDP)ピエール・ナンテル議員が今年10月の総選挙にグリーン党として出馬することが分かった。

 19日にはグリーン党エリザベス・メイ党首とケベック州モントリオールで記者会見し、ケベック州で環境問題を訴えていくと語った。

 ナンテル議員は2015年に同州モントリオール南部ロンゲール-セント・ヒューバート選挙区でNDP候補として出馬し、初当選。2015年はオレンジ旋風が吹き荒れたNDPにとっては過去最高の議席数を獲得した年でもあり、特にケベック州で圧勝した。

 2015年選挙ではジャスティン・トルドー氏の自由党がケベック州で圧勝したが、NDPのナンテル議員は辛うじて当選。その差は次点自由党候補と703票差という僅差だった。3番手だったケベック連合党もすぐそこに迫っていた。

 そして3期目を目指すこの選挙では、NDPが全国的に厳しい戦いを強いられることが予想されている。その中でも最も厳しいとされる州がケベック州。ジャグミード・シング氏が党首に就任して以降、ケベック州ではNDPの支持率が下がり続けている。

 一方で最近、支持率が急上昇しているのがグリーン党。今秋の選挙では環境問題が大きな争点の一つになることから、グリーン党が台風の目になるとみられている。

 しかもケベック州は保守派の州政府ですら、環境問題だけは最優先事項に掲げるなど、全国でも環境問題に最も熱心な州。自由党、保守党、ケベック連合と競合する中でNDPでの当選は、ほぼ絶望的と判断したのではとみられている。

 記者会見でナンテル議員は、「環境問題を真剣に考えているなら、自由党支持者だろうと、保守党だろうと、ケベック州分離派だろうと、今年の選挙ではグリーン党に投票すべきだろう」と語った。

 グリーン党は現在、ブリティッシュ・コロンビア州での補欠選挙で当選した議員とメイ党首の2議席。今年の選挙でどこまで伸ばせるか注目されている。

 

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