2019年3月21日 第12号

 アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相は19日、州議会議員選挙を4月16日に実施すると発表した。

 ジェイソン・ケニー党首の連合進歩保守党(UCP)と一騎打ちとなる選挙は、全国の注目を浴びている。

 石油・ガスを中心とする天然資源産業を主要産業とするアルバータ州は、2014年の原油価格急落以降、経済的に厳しい状況が続いている。現在の新民主党(NDP)政権はそんな中で2015年、それまで44年続いていた保守系政権を打ち破って政権奪取に成功した。

 ノッテリー州首相は、それまでの保守党政権との違いを示すため、環境対策に力を入れたり、自由党政権との蜜月ぶりを示したりと、順調な政権運営を続けていた。

 しかし、2016年にジャスティン・トルドー首相が承認したトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画が、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で新しく発足したNDP政権によって2018年1月に阻止されると、それまでの順調な流れは一気に変わった。

 アルバータ州政権は連邦政府と一緒にBC州政権に圧力をかけたが、2018年8月にはBC州最高裁判所が、環境対策と先住民への配慮が不十分と拡張工事を差し止めた。同年5月には連邦政府が同パイプラインを45億ドルで買収したが、工事は一歩も進まないまま現在に至っている。その間に、野党は保守系2党が統合しUCPを結成。党首に元連邦保守党政権閣僚のケニー氏が就任して、野党の勢いが増している。

 今回の選挙の争点の一つは、このトランスマウンテン・パイプライン。石油産業の復活が経済の復活と信じるアルバータ州民にとって、同パイプライン完成を約束することが票につながる。理由はこれまでアメリカ一辺倒の輸出だったアルバータ州オイルサンドをアメリカ以外の市場、主にアジアに輸出するための最短手段であり、それによりオイルサンド価格も適正化されるとアルバータ州議員たちは主張している。

 支持率ではUCPがリードしているが、最近になってUCPに選挙不正疑惑が持ち上がっている。投開票まで1カ月を切って、ここからNDPがどこまで巻き返せるか。野党が勝てば、炭素税などに強烈に反対しているため、連邦政府にも大きな影響があるとみられている。

 

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