2019年2月14日 第7号

 キューバの在外公館に勤務していたカナダ外交官たちが、連邦自由党政権に対して2800万ドルの賠償金を求める訴えを起こしていることが6日分かった。

 訴えを起こしたのは、2016年から2018年までキューバで外交官として務めていた5人とその家族を含む15人。勤務中に起こった原因不明のさまざまな症状に対して連邦政府が適切な対応を拒否したと訴えている。

 訴えによれば、この期間、キューバの在外公館に勤めるカナダ外交官やその家族が原因不明のさまざまな症状に悩まされたという。症状は、めまいや混乱、頭痛、鼻血などで脳振とうを起こした時と類似し、キューバで起こった原因不明の症状から「ハバナ症」と呼ばれている。カナダ政府は症状のある外交官と家族に対して正確な情報提供を怠り、適切な医療機関への受診を拒否したと訴えている。

 「ハバナ症」はカナダ外交官だけに限ったものではなく、キューバのアメリカ外交官にも同様の症状があったため、当初はアメリカ外交官を狙ったキューバの工作ではないかとの疑いが持たれた。しかし、いまだに原因は分かっていない。

 アメリカ外交官に対してはアメリカ政府が迅速な対応をしたため、現在回復に向かっている被害者が多いという。一方で、アメリカ外交官からの情報により、2016年11月にはカナダの外交官にも最初の健康被害が認められたとみられるにもかかわらず、カナダ政府は2018年4月まで対応を遅らせた。そのため、被害を受けた外交官や家族は今も症状が治まらず生活に支障をきたす人もいると提訴している。

 これについてクリスティア・フリーランド外相は、被害を受けた外交官たちと面会し事情を聴いたと語り「彼らの症状について心配している。政府として最大限の支援をする」と述べた。

 ジャスティン・トルドー首相は7日の会見で、「キューバにいた外交官に及ぼした健康被害が実際に起こったことであるということは疑いようがない」と語り、当初から非常に状況を重大視していたし、これからも海外に赴任しているカナダ人の健康や安全に真摯に対応すると語った。ただ裁判については言及しなかった。

 

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