2019年1月1日 第1号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州で予定されているナナイモ選挙区の補欠選挙は、各党候補者が12月16日に出揃った。

 BC新民主党(NDP)は連邦ナナイモ‐レディスミス選挙区のNDPシーラ・マルコルムソン議員擁立を決定、議席保持に全力を挙げる。

 ナナイモ選挙区はこれまで長年NDPが議席を保有してきた。前任者はNDPレオナルド・クロッグ前議員。クロッグ前議員は、2018年10月に実施されたBC州地方選挙でナナイモ市長選に立候補し、当選したためBC州議員を辞職、空席となっていた。

 従来ならそれほど大きく注目される選挙区ではないが、今回はBC政治の事情があり、かなり注目を集めている。

 BC州は現在NDPが政権を担当。しかし議席数は野党自由党より1議席少ない。それでもグリーン党3議席との協力関係で44議席とし政権を維持している。

 もし仮に自由党が議席を取れば、NDP・グリーン43議席、自由党43議席と議席数で並ぶ。そうなれば政権が不安定となり4年を待たずに選挙となるのではと予想されている。

 そのため、今回の補欠選挙に自由党がかなり力をいれてくるのではとNDPは警戒している。自由党はナナイモでよく知られるビジネスマンのトニー・ハリス氏を擁立。11月初旬に早々と決定し選挙戦に臨む態勢に入っている。

 一方で、NDP政権と協力体制にあるグリーン党も候補を擁立して選挙戦を戦うことを決定した。擁立したのは教師のミッシェル・ネイ氏。本人は政治家としては知られていないが、父は今回ナナイモ市長に当選した前NDP議員のクロッグ市長。そういう意味ではネイ氏もナナイモ市ではよく知られた人物。3つ巴の戦いとなる様相にネイ氏は、ライバル2人はナナイモ市でよく知られた人たちで厳しい戦いになるが、環境問題や気候変動対策の声を議会に届けたいと意欲を示した。

 また、NDPとグリーン党で票が割れる可能性については「心配していない」と語った。グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は、NDPとの協力体制は今後も続けていくが、州民の中にはNDPのサイトCダム政策や液化天然ガス(LNG)推進方針に懸念を示しているとNDPとの政策の違いを強調し、ナナイモでの選挙でこれらを訴えていくと語った。

 BC州バンクーバー島の小さな町がこれほど注目されるのは、仮に自由党が議席を獲得し州選挙を早めに実施することになれば、自由党が再び政権を取る可能性があり、そうなれば、トランスマウンテン・パイプライン政策や経済政策などで連邦政府にも影響を及ぼす可能性があるためだ。

 BC州政府ジョン・ホーガン州首相は補欠選挙の実施日はまだ正式に公表していないが、2月に発表する予算案の前には決めたいとの意向を示している。

 

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