2018年8月9日 第32号

 身体機能や精神的な障害を持つ人に寄り添い、そのサポートを行う補助犬(service dog)。この補助犬とともにコーヒーショップに入ろうとしたケベック州モントリオールの男性が、従業員から入店を拒否された。

 事件が起きたのは1カ月ほど前のこと。うつや不安症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)にさいなまれるクレイグ・リードさんを助けてきたのが、一緒になって4年になる補助犬のジョーイ。そんなリードさんがジョーイと近所のティムホートンズに入ったところ、店員から店を去るように言われた。

 誰が入店できないと言っているのかと問いただすリードさんに、「店長だ」とカウンター越しに店員が答えている様子が動画に残されている。また、この従業員との言い合いは激しさを増しながら店の外まで続き、最後は警察官が出動する騒ぎになった。警察官はジョーイが補助犬であることを確認したが、リードさんは店を去った。

 リードさんはティムホートンズの地域管轄マネージャーからの謝罪を求めたものの、コーヒーチェーンは、それに応えなかった。そのかわりにギフトカードのプレゼントを提案してきたが、リードさんは、これを拒否している。

 同社は広報を通じ、リードさんを追い出した従業員の行動は『完全に受け入れられないもの』だとし、この従業員を解雇したことを伝えた。

 補助犬が飼い主に同伴して店に入ることは、どのような店であってもカナダ国内では認められている。ただしケベック州の条例では、どのようなサービスを提供するのが補助犬であるかの定義があいまいであるため、リードさんにジョーイを貸し出しているアシスタ基金などでは、条例の明確化を求めている。

 リードさんは、今回の件を多くの人に知ってもらうことで、補助犬の重要性と普及の一助になればと語っている。

 

 

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