2018年4月26日 第17号

 アルバータ州カルガリーの保育園で3年前、乳児が死亡した事件について、この保育園の経営者が、乳児をチャイルドシートにくくりつけたまま5時間放置していたことを、公判で告白した。

 2015年11月にエルマリー・シモンズ容疑者(59歳)が経営していた保育園で死亡したのは、生後18カ月になるシーラ・マクグラスちゃん。事故当時シモンズ容疑者は、その日のシーラちゃんはぐずってばかりで昼寝をしなかったため、チャイルドシートにくくりつけておいたと証言していた。

 そしてシーラちゃんは意識を失い、二度と目を覚まさなかったと、その時の様子を語っていた。また彼女は、チャイルドシートに乳児をくくりつけることをやめるよう、カナダ小児科学会がアドバイスしていたことは当時知らなかったと述べている。なお彼女の保育園は無認可保育園だった。

 事故後、シーラちゃんの両親は、健康だった彼女が寝ている間にどうして突然死亡したのか、多くの疑問が解決されずにいるとメディアに訴えていた。また、事故当日いっしょに保育園にいたシーラちゃんの双子の弟コルビー君は、シーラちゃんが突然いなくなったことをいまだに受け入れられいでいると語っている。

 そして16日、業務上過失致死容疑に対する公判が10日間の予定で開始された直後、シモンズ容疑者は当時の様子を告白、容疑を認めた。

 シモンズ容疑者の告白によるとその日、シーラちゃんを保育園に残したまま外出して用事を済ませるため、シーラちゃんをチャイルドシートにくくりつけようとした。しかしチャイルドシートは彼女には小さすぎ、足を固定するベルトは届かなかったため、胸のベルトだけを締め、チャイルドシートごとクローゼットの中に隠した。その後外出してウォルマートやマクドナルドに立ち寄っていたシモンズ容疑者は、約5時間後に帰宅。ところが帰宅後にシーラちゃんの様子を確認したのは、さらに何時間か経ってからだった。シモンズ容疑者がようやくシーラちゃんに気づいた時には、彼女の意識はなかった。死因は胸の圧迫による窒息死だった。

 公判後、法廷から出てきた父親のライアン・マクグラスさんはメディアに向かって「自分たちが信用していた人物なのに、どうして人としてこんなことができたのか」と、この証言にショックを隠しきれないでいた。一方、証言からは弟のコルビー君はシーラちゃんの死を目撃していなかったことになり、その点は胸を撫で下ろしていると語る一方、ではその日コルビー君は一体どこにいたのかと、新たな疑問を呈していた。

 

 

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