2018年3月8日 第10号

 カナダで生まれ、子供たちの間では定番となっているイタリアン風スナック、ピザポップ。その考案者が2月6日、静かにその人生を終えた。

 ポール・ファラッチさんはマニトバ州ウィニペグ生まれのウィニペグ育ちで、1960年代にはハンバーガーなどを提供する一般的なレストランを経営していた。甥のフィル・ファラッチさんによると、当時ファラッチさんはイタリア料理のレシピを加えようと、様々な工夫をしていたという。ピザを半月形に折ったようなカルツォーネも作ってみたものの、味がよくなく試行錯誤を重ねた末に、現在のピザポップの原型となるものを作り上げた。

 これが大ヒットしたため、ファラッチさんはレストランを閉め何人かのパートナーとともにこの新商品を製造する会社を設立、商品名も正式にピザポップとした。その後、ファラッチさんは商品のラインナップを拡大しようとしたものの、パートナーと意見が合わず80年代には会社を去った。

 その後この会社は、大手食品会社ゼネラルミルズ傘下のフィルズバリーに売却され、ピザ・ポケットやホット・ポケットといった新商品も発売されるようになった。

 そんなファラッチさんが2月6日、ブリティッシュ・コロンビア州内陸部の人口4万人ほどの都市バーノンで息を引き取ったと、彼の家族が2月27日明らかにした。享年89歳だった。このことが一般に広まると、ソーシャルメディア上では彼の死を悼むとともに、その功績への賛辞が多く書き込まれた。アルバータ州カルガリーの保守党連邦議会議員、ミッシェル・ランペルさんは「まさに今日、朝食に大好物のピザポップを食べてから薬を飲んだところ。子供のころ、冷凍庫にはいつもピザポップが常備されていた」とツイッターに書き込んでいた。

 ファラッチさんは起業家マインドがあり、ほかにもアイデアをいくつも持っていたが、ピザポップを最も誇りに思っていて、できることなら再びその権利を得て、自分たちで製造したがっていたとフィルさんは語っている。その遺志を受け継ぐかのように、フィルさんの息子は、自分が営業しているフードトラックで、大量生産される前のオリジナルレシピのピザポップを売りに出そうと考えているという。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。