2018年2月15日 第7号

 サスカチワン州で昨年起きた先住民族青年の殺人事件で9日、ジェラルド・スタンレー被疑者(56)に陪審員が無罪判決を言い渡した。これを受け、先住民族に対する差別だとして国内で批判の声が沸き上がった。週末には国内各地で大きなデモも行われた。

 サスカチワン州の先住民族レッド・フェザント・ファースト・ネーションの青年コルテン・ブッシーさん(22)は、頭部を後ろから銃で撃たれ死亡した。

 この裁判の判決で問題となったのは、陪審員の選択制度。カナダでは専断的忌避制度が採用されている。今回、被疑者の白人が無罪になった理由として、この制度により陪審員全員を白人としたことが挙げられている。

 これについてジャスティン・トルドー首相は12日の国会で先住民族の人々がカナダの法制度で不当に扱われてきたことを修正しなくてはならないと理解を示したものの、個別の件についての言及は不適切として今回の判決自体には意見を示さなかった。

 先住民族出身のジョディー・ウィルソンレイボールド法務大臣も今回の件での国民の感情を理解すると語ったものの、「国として改善する必要がある」と述べるにとどまり、今回の判決に対する直接の明言は避けた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。