2017年12月21日 第51号

 クリスマスまでの残りの日数を数える、アドベント・カレンダー。普通サンタクロースや雪だるまとといった、子供も喜ぶデザインのものがほとんどだ。しかし、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでマリファナ商品を扱う店が、マリファナ関連の商品を仕込んだ同様のカレンダーを製作・販売し始めたところ、瞬く間に大人気商品となってしまった。

 無免許でマリファナ商品を扱うコースト・トゥー・コースト・メディシナルが、このカレンダーを売り始めたのは、今月初めのこと。同店のロリリー・フェドラーさんは、ビールのアドベント・カレンダーがあるのを目にした時、マリファナ商品でも同じことができるのではと思ったという。

 先週までに150枚ほどを売り、ちょうど次の300枚の製作に取りかかった所だという。それでもまだ1500件の受注残を抱えているとのこと。

 フェドラーさんも、まさかこんなに注文が来るとは思っていなかったという。カレンダーに仕込まれるマリファナ関連商品は、マリファナの花の部分や、食用マリファナを混ぜたジンジャーブレッドマンやスノーフレーク・クッキーなどだという。価格は200ドルから230ドルの間。

 こうしたカレンダーが違法商品なのはフェドラーさんも認識しているが、気にしていないし警察も何も言ってこないと彼女は取材に語っている。これに対し、カナダ薬物摂取および中毒センターのレベッカ・ジェスマンさんは、このようなマリファナ商品が現行法で規制されていないことを懸念している。そのため品質検査を受けることもなく市場に出回り、THC(テロラヒドロカンナビノールーマリファナの有効成分の一つ)や、他のカナビノイドの含有率がわからず、摂取した場合の中毒の程度が予測できないことが問題だと指摘している。またカビや菌類、殺虫剤などによる汚染の可能性もあるとしている。

 一方、ブリティッシュ・コロンビア大学の住民・公衆衛生学教授マーク・ヘイデンさんは、アドベント・カレンダーにマリファナを組み合わせるのは、誤った選択だと非難している。またアドベント・カレンダーである以上、子供が開ける危険性がつきまとう点も指摘した。だがフェドラーさんは、それを避けるため、あえてデザインは醜いものにしていると反論している。

 同州バンクーバーにあるサイモンフレーザー大学の経営学名誉教授リンゼー・メレディスさんは、このマリファナカレンダーは、20世紀中頃にはやった、奇抜な商品や行動で消費者の関心を引きメディアへの露出を高めた、いわゆる『不意打ち広告(ambush advertising)』の手法そのものだと解説する。そして、これから成長するマリファナ産業がいずれ、まるで津波のように様々な商品を送り出してくることになるだろうと予測している。

 

 

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