2017年12月14日 第50号

 下院の補欠選挙で自由党が4選挙区中3議席を獲得した。11日に実施された補欠選挙で注目されたブリティッシュ・コロンビア(BC)州サウス・サレー-ホワイト・ロック選挙区では、自由党から立候補したゴーディ・ホグ元ホワイト・ロック市長が僅差で当選した。

 この選挙区は、2015年総選挙では保守党から立候補したダイアン・ワッツ前サレー市長が自由党候補を1500票以下という僅差で当選。しかし、同議員が今夏から始まったBC州自由党党首選に立候補するため国会議員を辞職し、空席になっていた。その議席を確保したい保守党はケリー-リン・フィンドレー元議員を擁立。保守党政権時代閣僚を務めたフィンドレー元議員だったが2015年選挙で落選した。今回の選挙で、保守党の議席確保と自身の起死回生を狙ったが有権者は自由党を選び、保守党から議席を奪うことに成功した。

 自由党政権ジャスティン・トルドー首相は2回もサレーまで応援に駆け付けた。トルドー首相が2016年に承認したトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画の反対派が多いBC州での自由党政権の人気に陰りが出始めていたが、2019年に向けて明るい結果となった。自由党が補欠選挙で保守党から議席を奪ったのは、今年になって2回目。

 その他、オンタリオ州スカーボロー-アジンコート選挙区は自由党ジーン・イップ氏が予想通り当選。自由党アーノルド・チャン前議員が9月にガンで逝去したため、補欠選挙となったこの選挙区から立候補したのはチャン前議員の妻で、保守党候補に約10パーセントの差をつけて当選した。この選挙区での新民主党(NDP)候補の得票率は5パーセントにとどまった。

 またニューファンドランド・ラブラドール州ボナビスタ-ブリン-トリニティ選挙区では、自由党チャレンス・ロジャーズ氏が保守党候補を大きく引き離し当選した。

 保守党はサスカチワン州バトルフォーズ-ロイドミンスター選挙区の議席は確保した。ただ、保守党アンドリュー・シェア党首にとってはBC州の議席を確保できず、1議席を失うという厳しい結果になった。

 さらに、野党第2党NDPジャグミード・シング党首にとっても厳しい結果となった。オンタリオ州の選挙区は、東南アジア系が多い選挙区で党首自身が育った地域でもある。BC州でもインド系移民が多いサレー地区での補欠選挙で、前回選挙より約5パーセントも得票率を下げた。今回NDPは議席を獲得できなかっただけではなく、全体的に得票率も大きく下げている。

 今年に入って党首に選ばれた野党2党の両党首にとって、2019年総選挙に向けて厳しい結果となった。

 

 

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