2017年10月19日 第42号

 カナダ政府クリスティア・フリーランド外相は17日、アメリカ・ワシントンDCでアメリカ通商代表、メキシコ経済相との北米自由貿易協定(NAFTA)についての共同記者会見に臨み、アメリカの「異例な」要求が3カ国交渉を必要以上に難しいものにしていると暗に批判した。

 NAFTAは今月ワシントンで10日間にわたる4回目の交渉が行われていた。交渉中の今月11日にはジャスティン・トルドー首相がワシントンで米ドナルド・トランプ大統領と会談。共同会見ではトランプ大統領がアメリカのNAFTAからの撤退もあり得ると言及した。

 トルドー首相はその直後、記者会見を開き、引き続きNAFTAがカナダだけでなくアメリカ経済と雇用にとっても重要な協定であることを強調。しかし今後交渉は厳しくなるとの見方を示し、どのような事態にも対応する用意をしておくと語った。

 17日のフリーランド外相の共同記者会見後の会見でも同様の姿勢が見られ、無理難題を押し付けてくるアメリカの交渉にいらだちを見せながらも、今後もNAFTAの重要性を強調していくことに変わりはなく、カナダが交渉から撤退する意思がないことを示した。

 NAFTA締結から23年が経ち、現状に合わせて最適化が必要となっていることでは両国財界の意見は一致している。ただフリーランド財相は、最適化が「一国によるひとり勝ちを目指す」姿勢では成し遂げられないとアメリカ政府に警告した。

 アメリカは、自動車産業についてアメリカ製部品の使用拡大を要求しているほか、カナダの保護産業政策を問題視しているとみられている。

 今年中には目途をつける予定で進められていた交渉だが、2018年も引き続き行うことで3カ国が合意。まずは11月にも事務レベルでの交渉が続けられる。

 

 

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