2017年5月18日 第20号

 連邦保守党ローナ・アンブローズ暫定党首が16日、政界引退を発表した。引退後はアメリカにあるシンクタンク、ウィルソン・センターズ・カナダ・インスティチュートのワシントンDC事務所で、米加貿易問題に取り組むことが決まっている。

 保守党は2015年総選挙で議席を大幅に減らし、自由党に政権の座を譲った。その責任を取り、スティーブン・ハーパー首相が党首を辞任。現在は13候補による激しい党首選が繰り広げられている。

 アンブローズ暫定党首は、ハーパー党首の辞任後に党員投票で、正式な次期党首が決定するまでの暫定党首に就任した。それから18カ月間、惨敗した党の立て直しに尽力。それまでの保守党カラーを脱却する方針を次々と打ち出した。特にライフワークでもある女性問題については積極的で、自由党と協力し、女性の権利や先住民族女性に対する虐待問題などに取り組んだ。現在国連が制定している10月11日を国際ガールズ・デーとする決議にも尽力した。またそれまで保守党の方針だった同性愛婚反対を撤廃。保守党の政策に共感する人は誰でも党員資格があると方針転換した。

 この日は国会では、自由党ジャスティン・トルドー首相と新民主党(NDP)トーマス・マルケア党首からアンブローズ暫定党首へ言葉が贈られた。両者とも、いつも意見が一致したとは言えないが、党を越えて常に公平で、政治に真摯に向き合う姿は全ての国会議員が尊敬していたと語った。

 アンブローズ暫定党首は、2004年の選挙で、アルバータ州エドモントンから初当選。2006年保守党が政権を取った時には、史上最年少閣僚として環境大臣に就任した。以後、保守党政権では重要閣僚を歴任。暫定党首という形でひとまず政界を引退する。

 アンブローズ暫定党首は、「とても有意義な政治家人生だった」と13年を振り返り、あとに続く党首にバトンを渡した。国会が夏の休会に入るまで議員は務める。

 新党首は5月27日の党大会で決定する。

 

 

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