2017年5月11日 第19号

 ユーコン準州にあるカナダの最高峰ローガン山で、身動きが取れなくなった女性登山家が4日ぶりに救出された。

 この女性は、アルゼンチンの登山家ナターリア・マルチネスさん(37歳)。ローガン山を登山中の1日、同準州とブリティッシュ・コロンビア州の州境付近で起きた地震による雪崩や不安定になった山の斜面のため、標高約3900メートルのキャンプ地点から登山を続けることも、下山することもできなくなった。

 同山があるクルアニ国立公園・保護区を管理するカナダ公園局の職員は、マルチネスさんとは衛星電話で連絡を取り続けており、彼女の状況は把握していた。しかし悪天候のため救出用のヘリコプターをすぐには飛ばすことができず、最悪の場合5〜6日間も天候の回復を待つことも覚悟していたと、ヘリコプターのパイロット、イアン・ピッチフォースさんは取材に語っている。

 幸い4日後の4日には、公園局職員と救出プランを練っていたピッチフォースさんのもとに、同僚パイロットから天候が回復してきているという連絡が入った。現場に向かったピッチフォースさんらは午後9時ごろ、マルチネスさんの救助に成功した。彼女は救助されたことに安堵した様子だったが、救助隊にお礼を言うのが精一杯というほど憔悴していたと、ピッチフォースさんはその時の様子を話している。

 マルチネスさんは公園職員によって健康に異常がないことを確認されたのち、彼女のサポートチームが待つ、約120キロメートル離れた同準州シルバーシティに搬送された。

 

 

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