2017年5月11日 第19号

 ドン・メレディス上院議員が9日、辞職することが分かった。他の上院議員宛てに、辞職を示唆する書簡を送っていた。ただ文章の中では辞職という文字は一切使われていない。辞職する理由について、自分を支えてくれている家族と前に進みたい、上院は自分の反倫理的行為に煩わされるより、もっと重要な役割があるという認識は持っているつもりだと語っている。

 上院倫理委員会は2日、メレディス議員に対し上院からの除名勧告を発表していた。元裁判官や弁護士で構成された同委員会は、メレディス議員の未成年との性的行為について調査を進め、その結果、除名勧告という結論に達した。

 委員会は、「除籍以外に、メレディス議員が上院に与えた損害を修復する方法はない」とし、彼の取った行為は「上院議員として相応しくない」と結論づけた。

 メレディス議員については、今年初め、上院倫理委員リーズ・リカルド議員が同議員の行為について報告した。それによると、同議員は、ある女性と、その女性が16歳の時からオンライン・チャットやライブ・ビデオなどで性的なやりとりを行い、18歳までに3回の肉体関係を持ったという。女性が17歳の時に1回、18歳になって2回と報告されている。さらに、同議員は上院議員という立場を利用して女性に近づいたとも報告されている。

 これに対して本人は、この女性と肉体関係を持ったことは認めたが、18歳になってから1回のみと説明した。同議員は既婚者で、キリスト教ペンテコステ派牧師でもある。すでに公式に謝罪会見も行っている。

 2日の倫理員会の発表時点では、上院が、この勧告を受け入れるか、拒否するかの採決を早い段階で取るとされ、多数の議員が受け入れに回ると予想されていた。もし除名となれば、カナダ史上初の上院議員除名となるはずだった。

 同議員は、これまでにも事務所内でスタッフに対してセクハラや嫌がらせ行為があったとして倫理違反2件が現在でも調査中となっている。ただ議員を辞職すれば上院に倫理調査権がなくなるため、この2件の調査も打ち切りとなる。 今後は、メレディス議員がデイビッド・ジョンストン総督に辞職届を提出し、正式に辞職となる。

 同議員は2010年、当時の保守党政権スティーブン・ハーパー首相に任命され、保守党上院議員に就任。その後、無所属となった。昨年12月で就任6年となり、年金受給資格を得ている。60歳になると年間2万4千ドルを受け取ることができる。上院議員の中には、カナダ政府がメレディス議員の年金受給資格をはく奪するよう願っていると発言している議員もいる。

 

 

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