2017年3月16日 第11号

 オンタリオ州北西部のオブジワ族独立居住区出身で、先住民ジャーナリスト兼作家として活躍してきたリチャード・ワガミーズさんが10日、死去した。

 2012年に刊行された著作『インディアン・ホース(Indian Horse)』は、先住民文学に関する文学賞を受賞したほか、カナダ公共放送(CBC)の書評ラジオ番組で最終選考に残るなど特に有名。

 この本は、カナダの先住民同化政策の一環であった寄宿学校(Indian Residential Schools)で虐待を受けてきた少年が、ホッケーへの情熱に救いを見つける物語で、映画化も決定している。

 ワガミーズさんは1979年にジャーナリストとして執筆業を開始。1991年には先住民ライターとしては初めて、全国新聞賞(National Newspaper Award)を受賞している。その後も執筆した小説などが数々の賞を受賞、作家としての知名度を上げていった。

 ワガミーズさんの姪のロンダ・フィッシャーさんは、彼の作品には幼少時の経験が色濃く反映されていると説明している。彼は州政府が推し進めた、先住民の児童を強制的に非先住民の家庭へ里子に出す、いわゆる『60年代スクープ(60s Scoop)』政策によって家族から引き離され、オンタリオ州南部の家庭に引き取られた過去がある。

 ワガミーズさんの本を何冊か出版した、ペンギン・ランダムハウス・カナダの編集長兼社長のクリスティン・コックレーンさんは、ワガミーズさんはカナダを代表する作家の1人だと評価、その死を悼んだ。

 また先住民会議の議長ペリー・ベルガーデさんも、ワガミーズさんは心から先住民族の物語を語ってくれたと、大きな存在を失った悲しみを表現していた。

 

 

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