2016年12月8日 第50号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府クリスティ・クラーク州首相は11月30日、トランスマウンテン・パイプライン拡張計画について条件さえ満たせば反対しない意向を示した。

 ジャスティン・トルドー首相は前日、国内で計画されている3つのパイプライン建設計画について政府としての承認の是非を発表。BC州が関係する2つのパイプラインのうち、キンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張計画については承認すると発表した。

 これを受け、この日からパイプライン建設反対派がバンクーバー市などで反対デモを実施。計画時点から環境活動家や先住民族だけでなく周辺市町村からも反対が強かった同計画は、これからも反対派の運動が活発になるとみられている。

 そうした中、この日クラーク州首相がBC州政府の立場を改めて表明した。これまでにもBC州政府が提案していた5つの条件を満たせば、州政府としては反対しない意向を改めて発表した。特に今回は、海洋でのオイル漏れ事故の迅速な対応とパイプライン拡張によるBC州への経済的恩恵についての条件が満たされることを強調した。

 この日の記者会見では、連邦政府はそれほど時間がかからないうちにこれらの条件を満たすだろうとの認識を示し、来年5月9日に実施される州議会議員選挙前には条件は満たされていると予想していると語った。

 トランスマウンテン・パイプライン拡張計画は、アルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市まで延びている現在使用されているパイプラインを拡張し、オイルサンド輸送量を3倍にするという計画。石油需要の高いアジアに向けて輸出を拡大することを目的としている。しかし、パイプラインの破損や海路でのタンカー数が現在の7倍に増加することによるオイル漏れ事故の増加、輸出量の増加に伴うオイルサンド産出量増加で温室効果ガスが増加するなどの環境への影響から、BC州では反対の声が根強い。

 

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