ジャスティン・トルドー首相は26日、モントリオールで記者会見し、パイプライン建設の審査で環境対策を強化すると語った。

 モントリオールでの記者会見は、同市デニス・コデーレ市長との会談後に行われた。同市長は先週、トランスカナダ社が建設を計画しているエナジー・イースト・パイプライン建設に強い反対を表明している。

 エナジー・イースト・パイプライン建設計画は、アルバータ州北部からサスカチワン州、オンタリオ州、ケベック州などを通って東海岸ニューブランズウィック州までオイルサンドを運ぶ、約4600キロメートルにも及ぶ157億ドルをかけたパイプライン建設計画。完成すれば一日110万バレルのオイルサンドを運ぶ。そこからタンカーで海外市場へと輸出する。

 このパイプラインがモントリオールを通るということで、同市市長が建設反対を表明した。経済効果だけでは代えがたい環境的リスクがあると理由を語った。このコデーレ市長の発言に対し、アルバータ州レイチェル・ノトリー州知事やカルガリー市ナヒード・ネンシ市長、サスカチワン州ブラッド・ウォール州知事が反論した。

 これを受け、トルドー首相がコデーレ市長と会談。会談後、同市長はやや口調を和らげ、トランスカナダ社にもう一度計画を練り直すよう語った。

 トルドー首相は、「首相としての自分の責任は、国家プロジェクトにおいて、経済への貢献、環境への配慮、そして国民が一緒になってより良い将来を作り上げていけるかを考慮すること」と述べた。

 同日、環境と持続的開発委員会からカナダエネルギー委員会(NEB)の不適当な承認、監督体制が指摘された。

 そこでトルドー首相はパイプライン建設の承認には、新しい環境規制制度を導入する計画を発表。温室効果ガス排出量なども考慮に入れるとしているが、詳細は後日発表されるという。新制度は、エナジー・イースト・パイプライン建設計画はもちろん、現在NEBで審査中の他のプロジェクト、キンダー・モーガン社のトランス・マウンテン・パイプライン拡張計画にも適用される。

 

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