手が届きそうな背の高いオーロラ


イエローナイフのオーロラの魅力は、何といっても「真上で弾ける」ダイナミックなオーロラが頻繁に見えること。今回は、弾ける様子とオーロラの高さについてお話ししましょう。

地球にリング状に浮かぶオーロラベルトの真下に位置するイエローナイフでは、まず東西をつらぬく光の帯が現れます。視界の開けた場所で観測すると、北の 空からこの帯が現れ、南の地平線の向こうに消えていく、あるいは南の空から現れて、北の地平線の向こうに消えていくのがわかります。

どちらも、イエローナイフの真上を通過するわけですが、地上からオーロラを真上に見上げるとき、ブレイクアップ現象と呼ばれる「オーロラの弾ける」様子を見ることができます。

はじめに現れた1本の光の帯は真上に来るにつれ、だんだん色が濃くなり、数本に増えて空一面に広がります。そして、カーテンの一部がくずれて、ひだができたり渦を巻いたりして、まるで生き物かと思うような速さで夜空を光が動き回ります。


カーテン状のオーロラ


カーテン状、シャワー状、ベール状、帯状、コロナ状、らせん状、渦巻き状、ギザギザ状と、オーロラが弾ける形もいろいろ。千差万別で同じ姿を見せることは決してありません。



コロナ状のオーロラ


ところで、オーロラのカーテンの下端まで、どれくらいの距離があるのでしょう。太陽風が強いとき、とても背の高いオーロラが見えることがあり、手が届き そうなほど近くに感じることがあります。ですが、実際は、通常、地上から約100キロほどのところ。ジェット機の飛行高度は約1万メートル(10キロ)で すから、その約10倍の高さにあることになります。

一方、カーテンの幅は、わずか約500mから1キロ程度ほど。この薄いカーテンが移動するわけですから、これを真上に見れる瞬間が短いのも理解できます。緯度が低くオーロラベルトからはずれるほど、真上で弾ける姿に会える可能性が低くなります。
真上で弾けるオーロラに会えば、地球の美しさを実感できたり、心が研ぎ澄まされるような神聖な気持ちなるに違いありません。12月に入り、待望のオーロラのシーズンに突入。今年もオーロラにいちばん近い町で、どんなオーロラに会えるかとても楽しみです。

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。