かつては多くの日系人が住んでいたスティーブストン。現在はここに住む日系人の数も少なくなりましたが、それでもスティーブストンに行くと、立派な日加文化センターがあるというのは、日本人として誇りを感じます。今回は同センター内で授業を行っているスティーブストン日本語学校を訪ねました。

コミュニティーに密接した学校
もともと漁師の慈善団体によって1911年に設立された学校を母体に、1960年にスティーブストン日本語学校が設立されました。今年で50周年。現在は幼稚園から小中高そして大人クラスまで、約310人の生徒たちが日本語を勉強しています。
設立当初はコミュニティーセンター内で授業が行われていたこともあり、学校は日本人だけでなく、ほかのエスニック・グループにも開かれました。毎年行われていたバザーは、コミュニティー・イベントのひとつでしたが、今は『こどもの日』のパーティーが行われ、日本のものやたべものが売られます。ほかに運動会、習字や小麦粉から作るうどん作りの日も、生徒たちには大好評です。

 

まずは漢字
昨年から文部科学省の漢字検定試験に沿って、独自の検定を年に3回実行しています。漢字は家で勉強してきてもらい、週1回の日本語学校では読解に時間を使いたいそうですが、家で漢字学習をするのが難しい生徒が多いため、学校では最初の20分を漢字の勉強にあてています。
生徒はまず自分の漢字検定級のクラスに行きます。8つの漢字を書き順から始め、ワークブックを使ったり、カードを見て読みを練習します。それを終えてから、自分のクラスに行って教科書を使った勉強が始まります。
「漢字がわかるから読める。読めるからわかる。わかるから楽しい。楽しいからもっとやる。これがいいサークルなんです」と大山春恵校長先生がおっしゃるように、ここまでいったら日本語学習ももっと楽しくなることでしょうね。

日本語を楽しく
漢字が書けても、その意味を知らないことがあります。たとえば『昭和』という漢字。それで大山先生は、天皇と年代、歴史などを生徒に説明したそうです。また『県立』と言ってわからなかったときは、「日本に帰ったときにどの県に行く?」と聞いて教えてあげたり。授業前にはインターネットで調べるなど、先生も準備が大変です。
公立の学校でエデュケーション・アシスタントとして働く大山先生は、カナダの学校の授業で行っているいい点を、日本語の授業にも取り入れています。たとえばプロジェクトやポスター作りなど。ポスター作りをすると、ひらがなやカタカナを上手に使ったり、かわいく書いたり、生徒も日本語を楽しそうに書いているそうです。
日本語学校は週1回ですから、どれだけ保護者のフォローアップがあるかが大切だといいます。子どもが小さい頃は、家庭で宿題を見てあげる保護者が多いようですが、中学年になるとそれも少なくなり、小学3年くらいから学差が出てくるそうです。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

スティーブストン日本語学校
4111 Moncton Street,
Richmond BC  V7E 4Y8
電話 604- 274-4374

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2009年8月27日発行#35に掲載

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