3位決定戦 日本3−2ドイツ(SO)
3月1日。これまで全戦全敗のドイツとの3位決定戦は、予想に反してかなり苦戦した。第2ピリオド終了時点で0−2。1点目を返したのは試合終了まで残り2分26秒だった。FW上原(#32)のシュートがはじかれたところを、DF遠藤(#10)が押し込んだ。
 |
試合残り50秒で同点ゴールを決めた後のDF須藤(#24) |
1−2のまま試合時間は残り1分。日本はゴールキーパーをベンチに戻し、6人で攻撃をかけた。その9秒後、DF須藤(#24)のシュートが決まった。日本にエネルギーを送り込む、起死回生の1点だった。その時、秒数がせわしく少なくなっていく電光掲示板の数字は残り50秒を指していた。
延長戦(OT)の10分間でも決着がつかなかった手に汗握る接戦はシュートアウト(SO)へ。1番手がともにはずした両チーム、まずは先行のドイツ2番手がはずして、日本はキャプテンの上原。「試合の時は全く緊張しないんですけど」というエースが放ったシュートは、ゴールキーパーにはじかれながらもネットに吸い込まれ、日本代表に大きな大きな決勝ゴールをもたらした。
 |
アシスタントキャプテンFW高橋(#55)。高橋−上原コンビで今大会何度もゴールを決めた |
試合後「あの瞬間(SO)だけはドキドキで。だから決まった瞬間ほっとして泣いちゃったんですよ。よかった〜っと思って」と喉をからした声で答えながら作った笑顔には、キャプテンとしての責任感と安堵感があふれていた。同点ゴールを決めた須藤は、「あの場面であの時間で同点ゴールが決まるなんてめったにないですよね」と笑って「入ってよかったですね」と他人事のように照れ隠しに言った。「監督の采配がよかった結果でした」とベンチと選手のチームワークも勝因に挙げた。
ドイツの3番手がゴールに失敗した瞬間、選手たちは大きく手をあげてリンクに飛び出した。氷上で抱き合って喜びあう選手たちの笑顔に、会場からは大きな歓声と暖かい拍手が送られた。
収穫と課題が見えた今大会
ドイツ戦では第2ピリオドまで相手のディフェンスが想像以上に堅く、シュート数は日本が上回っているのに1点が取れず戸惑ったところがあったと上原キャプテンは振り返った。「ただ、気持ちが落ちているところで、最後の3分で2点返したということは今回の収穫だし、大きな自信になったと思います」と精神的な強さへの手ごたえを口にした。
 |
勝利の瞬間を喜ぶ選手たち。SOでGK長瀬(#39)はドイツ3選手をシャットアウトした |
これはドイツ戦に限らず、今大会に共通している。予選3戦目、対カナダ戦でも第2ピリオドまでは離されては追いついた。前日のアメリカ戦でも第1ピリオドに2点先取されるも同ピリオド内で同点にした。「緊張する場面で、取られても取り返せる力がついてきたというのは、すごくこの大会に来て成長した部分だと思います」と3位という順位以上の収穫に胸を張った。
課題としては、今大会を通して、小さなミスから点を取られる場面が多かったこと。それが、結局決勝点となって負ける場面があった。対カナダ戦では、第3ピリオドで集中力が切れて短時間に大量点を取られた。今回はディフェンスが3人だったためDFへの負担も大きかったことなどを中北監督はあげていた。「こうした今大会を通して見えてきた課題を一つ一つ克服して、来年のこの場所につなげたい」と語った。
2010年この場所で最高の結果を残すための道のりに、日本代表の視界はクリアになりつつある。
|