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中長期的に選手育成強化ができるシステム構築が必要
高野フリースタイルヘッドコーチインタビュー



左から、高野コーチ、高野美鳥さん、小林さん。リステルホテルで


フリースタイルスキーナショナルチームの高野弥寸志ヘッドコーチが23日、日本選手出場種目を終え、FISフリースタイルA級ジャッジの高野美鳥さん、小林正明さんとともに、インタビューに応じ今大会を振り返った。

メダルは難しいと痛感

 「強化責任者としてメダルは難しいものだなと痛感しました」と高野コーチは今大会の感想を一言でこう語った。期待され、それに応える力がありながら、一番成績の良かった上村愛子選手が4位だったということは現実として受け止めたいとも付け加えた。ただ、4年間の成果が30秒に集約されるモーグルという競技で本当に精一杯やった結果が4位であったことは選手を称えたいと思うし、一方将来に期待の持てる若い選手が活躍したことは明るい材料となったと総括した。
 上村選手については、「上村よりいい成績を出した選手が3人いたということだったし、本人も同じことを言っていました」と語り、本人はオリンピックということで集中していたし、精神状態も充実していたし、あの日、あの時、あの環境の中で、彼女ができるすべてのことをやった結果が4位だったと評価した。

オリンピック初種目
スキークロス

 今大会から正式種目となったスキークロス。男子の瀧澤宏臣選手、女子の福島のり子選手が日本代表として出場した。クロスはオリンピック種目に決まってから、世界の勢力図が変わったという。それまでは日本は世界トップクラスだったが、五輪種目となったことで、国を挙げて強化するところが現れたのがその理由という。
 クロスはアルペンの滑降やスーパー大回転という高速系種目の要素を多く持つ。これまで大回転、回転という技術系に力を入れてきた日本スキー界にとって、これからの選手育成に課題が見えた大会となったと振り返った。

若手の台頭
 今大会では男子は遠藤尚選手、女子は村田愛里咲選手と、ともに19歳という若い選手が入賞した。「若い選手が伸びてきたのは一番うれしい成果でしたね。二人ともあと何回もオリンピックに出場できると思いますし、今大会は二人にとってすごくいい経験になったと思います」と語り、「それに、二人が一番オリンピックを楽しんでいたのも良かったと思います」と、モーグルの将来を担う選手の活躍に表情が和んだ。

フリースタイルスキーの今後
 今大会、スキー種目は一つもメダルが取れなかった。メダル数と強化費用はほぼ比例するという。「世界と互角以上に戦おうとすると、費用も、環境も、絶対に必要となります」と高野コーチ。選手育成には8〜12年の期間がかかるという。長野金メダルの里谷多英選手も、今大会4位の上村選手も、実質10年かけて育ててきた。
 しかし、現在の強化システムでは中長期的な展望が組みにくく、一貫した選手の育成強化を長く続けていくのは難しいという現実もあり、実態にあった選手育成・強化システムの構築が必要となると語った。

バンクーバーについて
 高野美鳥さん、小林さんは今回解説として五輪に参加した。伝えたいことと、メディアが知りたがることとのギャップにジレンマを感じながらも、バンクーバー滞在を楽しんだと語った。小林さんは、「今回の大会でカナダの皆さん自身が楽しんでいるという感じを受けましたし、それがうらやましくもありました」と1998年の長野大会と比較して、そう感想を述べた。
 高野コーチによれば、数ある競技会場でもバンクーバーは選手たちが最も好きな所だという。「バンクーバーに行くと言って文句を言う選手はいないです」と笑った。
 ただ、今後もフリースタイルスキーがバンクーバーで開催されるかは未定のようだ。


(取材 三島直美)

この記事掲載は2010年3月4日第10号です