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鍵を掲げるロバートソン市長(左)とVANOCファーロングCEO |
壇上ではバンクーバーのグレゴール・ロバートソン市長からバンクーバーオリンピック・パラリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)最高経営責任者(CEO)ジョン・ファーロング氏に大きな鍵が渡された。
2月のオリンピック、3月のパラリンピック期間中、選手、スタッフなど約3000人がここに滞在する。
ロバートソン市長は、「市民が選手村建設に対して疑問や懸念を抱いていた1年前に市長に当選してこの事業を引き継ぐことになってから、こうして選手村が完成間近まで来て、とても報われた気持ちがする」と語り、建設請負業者ミレニアム・ディベロップメント・コーポレーションなど関係者に感謝の意を表した。
鍵を受け取ったファーロングCEOは、「私も選手としてこの大会に出場し、ここに宿泊し、この景色を眺めながら大会の素晴らしさを味わえたらと思った」と元アスリートらしい思いを述べた。
選手村は1月29日に開村し、世界各国の選手たちを迎え入れる。
「売れないことはない」
選手村の総工事費は約11億ドル。工事は12月初旬まで続くということだが、ひとまず完成をした。この選手村建設問題で市は揺れた。ミレニアムの破格の入札額、建設費の高騰、世界経済悪化によるヘッジファンドからの融資停止、建設の遅れ、そして、結局バンクーバー市が1億ドル以上を融資するという形でやっと完成までこぎつけた。バンクーバー市の密室での融資決定の成否が2008年11月のバンクーバー市長選の争点となり、サリバン前市長は追われロバートソン市長が誕生した。その後も市は、融資額も含め建設費は大会後の住宅販売で穴埋めは十分できるはずだと繰り返し主張してきた。
この日記者に囲まれた市長は、「売れなかった場合どうするのか」という市民に課した税負担の責任について問われると、「大丈夫、売れると思う」と答え、「(建設費を穴埋めできない額で)売れないことの方が驚きだ」と語った。
選手村内を見学
引き渡し式の前に、選手村内部が国内外のメディアに公開された。見学したのは、選手が宿泊する部屋の内部と、選手や家族、友人たちが共に寛げる憩いの場所となるシビック・センター。
北米で最も環境に配慮したエコ住宅としての価値を世界に発信したいこともあり、この建物の説明ではありとあらゆる場面で環境に配慮していることを強調していた。水の再利用、エネルギー効率、ゴミの分別、屋上のグリーン化など、さまざまな技術が取り入れられている。居住用建物はカナディアン・グリーン・ビルディング・カウンシルの認定するカナダのエコ建築基準であるLEEDのゴールドを基準にデザインされ、シビック・センターは プラチナムの認証を目標に建設されている。
一方、公開された選手が宿泊する部屋の内部はというと、最上階にある2ベッドルーム+デンという間取りの4人部屋で、どの部屋からもBCプレース、GMプレース、その向こうのダウンタウンビル群が望める景色付き。一緒に見学していた元オリンピック選手のセルマ・ライトさんは、「選手としてこんな素晴らしい部屋に泊まれるなんて最高ですね」と語った。ただ、パラリンピック選手も宿泊するにもかかわらず、ベランダへのどの出入り口にも階段が取り付けられていた。

違う部屋のベランダからダウンタウン方面を見た眺め。
選手村はパラリンピック終了後、4月7日にはVANOCからバンクーバー市に返還される。その後、住宅販売用に改修工事が行われる。
全戸1100戸のうち、736戸が一般住宅として販売される予定で、263戸はすでに売約済みという。残りは5月8日から販売が開始される。ちなみにメディアが見学した部屋は約200万ドルで販売される予定ということだった。

ベッドルームのひとつ。
公開されたのは比較的大きめの部屋で、部屋によって大きさは異なる。
どの国の選手にどの部屋が割り当てられるかはまだ決まっていない。
(取材 三島直美)
この記事掲載は2009年11月12日第46号です。 |