えぐぜくてぃぶ
カナダ住友商事会社 社長 行田史朗 氏
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これからの商社の役割について「今やインターネット時代で、単なる仲介業をするだけでは意味がなくなってきている。
今後の商社は事業への投資や、資源開発など大きな事業計画のまとめ役となっていければ」と語る行田氏は、今春カナダ駐在3年目を迎える。
異文化を国内外で経験
これまで2度の海外駐在を経験した行田史朗氏だが、カルチャーショックが大きかったのは大阪から東京への転勤した時。
日本の急成長時代にもあたり、言葉の違いに業務量の多さとスピードが加わり、黙々と仕事に向かう社内の空気に圧倒された。海外はあらかじめ違いを覚悟しているので心理的には楽だとか。
信頼関係の構築がマネジメントの鍵
仕事での苦労といえば、思い出されるのは、アメリカのジョージタウンで自動車用クランクシャフトを製造する会社の創業にあたったICI副社長時代。工場立ち上げは順調に進んだものの、アメリカ人スタッフの熟練不足などからうまく製造が進まなかった。
「日本人なら、なんとか短期間で技術を習得しようとしますが、米国人は経験を積めばそのうちできる、といった鷹揚(おうよう)さがあるため、わたしたちはいつも胃がきりきりと痛む思いをさせられました」と行田氏は当時を振り返る。
そうした状況で2、3年は利益が出ず、「会社をたたんでしまおうか」と思うほどの低迷期を経験した。
状況打開のため、生産量が一定以上を超えれば報酬を出すような「プロフィット・シェアリング」を導入したり、スタッフからの改善提案を募り、良い提案に対して報酬を出すといった方策を講じた。
しかしそれ以上に状況改善に貢献したのは、会社が非常に大変な状況であるという認識をスタッフと共有できるよう対話を進めたことだった。
対話によって全社の一体感が生まれ、スタッフのやる気が向上していった。行田氏はそのとき「報酬に加えての信頼関係が大事」と実感。同時に仕事のやりがいを感じたときでもあった。
仕事への情熱を生み出す
行田氏の信条の一つは「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」。最も大変だったのは、入社直後にマンツーマンで教育する先輩社員に、箸の上げ下ろしから指導された頃。だがそこから解放されてからは、何か大変なことがあっても「あのときほどはしんどくないな」という思いでいられるという。
仕事に肝要なことは「バランス感覚と仕事にどれだけ情熱を注げるか」だと感じている行田氏。
ではどうすれば仕事への情熱が湧き出てくるのだろうか。行田氏の実践方法はこうだ。新たな任務を受けた際には、前任者のファイルを片端からチェックし、過去の経緯を把握。
そのうえで、各担当の話をよく聞いて自ら現場に出ていき、実際の業務から情報を入手する。
「担当になった分野の知識を増やして、それを業務に生かしているうちに、仕事が回りだして楽しくなりますね。数年経って仕事がマンネリになってくると次の辞令が下りるんですよ」と行田氏は苦笑する。
物静かで研究者のような雰囲気のなかから、ひたむきな仕事への情熱が伝わってきた。
(取材 平野香利)
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モントリオール、トロント、カルガリーに支社をもち、日本向けに食品や木材を輸出し、アジアの鋼板や日本製の鉄道レールや機械類などをカナダに輸入。住友商事全体として総売上高約10兆円(昨年度)を上げる日本を代表する総合商社のひとつ。
行田史朗
(ゆきたしろう)
大阪出身。大阪大学経済学部卒業後、同社に入社。大阪で人事部、繊維部門営業を担当後、東京へ転勤。シカゴ駐在等の後、再び東京に赴任を経て、ケンタッキー州ジョージタウンで自動車部品製造の会社ICIの立ち上げに取り組む。2002年より現職。