My Business


ラム・ロー・西尾会計事務所
ドン西尾氏



 日本企業での経験が糧に

 大学卒業時、日系二世の父から日本への旅行をプレゼントされた。6週間日本に滞在し、カナダに帰ってから会計事務所に就職。しかし、「何か新しい事をしたい」と 年に再び日本へ渡り、日本語を勉強した。

その後、監査法人のトーマツに入社が決定。当初日本滞在は一年を予定していたので、滞在の延長を、当時カナダにいたガールフレンド(現在の奥様)に伝えたときは、「それじゃあバイバイ」と予期せぬ別れを告げられた。そこで慌てて国際電話をかけ続け、彼女を日本に呼ぶことで交際を続けることができ、結婚。

 ともあれ大きなフロアでただ一人の外国人となった西尾氏は、周りの社員の会話に注意深く耳を傾け、電話は「もしもし」で始めることもそこで知った。週に3回の同僚との飲み会も日本語習得に役立った。

  85年にはカナダに帰国し、大手会計事務所に勤務したが、ナナイモ出身の西尾氏は、企業の一員として大企業の仕事を請け負うよりも、顧客の顔が見える親しい関係を築いていくほうにひかれていた。

そんな折、同じ税務部の仲間2人が先に独立。彼らの誘いがあって、1992年より3人の会計士の名を連ねた「ラム・ロー・西尾会計事務所」をスタートさせた。

独立の向き不向き

 それまでに経験のない総務、人事、広報といった仕事も、西尾氏は未知の世界を旅するような気持ちで臨んだ。何事もある程度のレベルには到達できる自信が少年時代から備わっていたことと、広い分野への関心が独立後の彼を支えていたようだ。

 個人の一般税務から事業の立ち上げや管理まで、顧客のニーズに応じた広範囲な業務に携わっている西尾氏。そのなかで特に個人事業に関しての所感をこう語る。

「起業にあたっては自分の性格を客観的に把握し、経営上の業務全般が好きでやっていけるかどうかも考えたほうがいいですね。そういう意味で、わたしは独立することが性に合っていたと思います」。

質の高いサービスを

 仕事へかける姿勢は、経験を重ねた今も「一生懸命、質の高いものを」。特に質の高さについては過去に勤務してきた職場で学んだ事が大きいと西尾氏は言う。定期、不定期に変更となる税制や税率など、常に最新の情報を入手し、顧客が満足するサービスを提供することを心がけている。

また、Canada Revenue Agency (カナダ国税庁)への必要書類締め切りのお知らせなどを数ヵ月前から顧客に知らせ、更にフォローアップを重ねるなど、きめ細やかなサービスも行っている。

カナダと日本の会計に精通した西尾氏と4人の日本人スタッフにより、個人、法人顧客をしっかりとサポートしている当オフィスでは、カナダ一般会計業務のほかに日本で発生した所得(相続や不動産賃貸収入など)のカナダ政府への申告などのお手伝いもしている。

 西尾氏に今後の展望を伺うと「1人の人間が管理できるのは5人まで」という言葉を引いて、自分の目の届く今の事業規模がちょうど良いと感じているとの返答。

「顧客の業績やスタッフの仕事ぶりが、期待以上に上がっていると感じたときに仕事のやりがいを感じます」。終始、話す人の目の高さで丁寧に、そして気さくに語る西尾氏。彼の周りには良き人々が集まってくるに違いない、と筆者には感じられた。  (取材 平野香利)

ラム・ロー・西尾会計事務所
住 所:City Square West Tower
488-555 W. 12th Ave.
Vancouver. B.C V5Z 3X7
電 話 : 604-872-8883
F a x: 604-872-8889
E-mail : www.lamlonishio.ca

ドン西尾氏
 1954年ユーコン準州ホワイトホースで生まれ、バンクーバーアイランドのナナイモで育つ。UBC商学部卒業後、カナダ公認会計士、カナダ税務専門資格取得。コリンズ・バロウ、監査法人トーマツ(日本)、デロイト、プライス・ウォーターハウス・クーパーズ社を経て、1992年より独立し現在に至る。週2回はアイスホッケーを楽しむスポーツマン。