NJKは日本語を母国語としない人々が日本語を学ぶ「日本語コース」と、そのインストラクターを養成する「養成コース」の二本立て。そのバックボーンとなっているのが、NJK がオリジナルに作成した教科書「Ganbatte!」だ。NJKの特色は「学習者が楽しみながら日本語を習得できるように指導すること」。「楽しみながらの学習」の秘訣を探ってみることにしよう。
手作り教科書、手作りレッスン
蜷川親義・正子夫妻がNJKを創立した当初は、日本から既製のテキストを買って使っていたが、コストも高くつき、しかも生徒たちが飽きてしまう。そこで、ジョンとヨーコが主役のテキストブック「Ganbatte!」の作成が始まった。「Ganbatte!」には親義先生オリジナルの楽しいイラストが、あちらこちらに描かれている。第一巻の初めにはローマ字が多く見られるが、巻を進むごとに「ひらがな」が増え、「漢字」が見られるようになり、そしてローマ字は教科書から消えて行く。授業で「Ganbatte!」を使って、たえず生徒たちの反応をみながら、改善を重ねる。「主役は生徒たちです。教師は自分の教え方を披露してはいけません」と語る正子先生。「生徒たちをいかに授業に飽きさせないようにするか」がNJK日本語教授法。そのためには、「生徒の潜在能力を探り、生徒がなにを求めているのかを素早くキャッチして、カードを使ったりゲームをしたりしながら授業を引っ張ります」と正子先生は語る。授業時間2時間半、その最後の15分まで「Ganbatte!」のページは開けられない。「生徒に『が』と『は』の違いは?などという質問をするチャンスを与えないように授業をする」と述べる正子先生。授業の最後の15分「Ganbatte!」を開いてみると、その日に学んだことが全て書いてある。NJKには宿題もなく、生徒たちに予習、復習を求めたりはしない。「誰にも強制されたわけでもないのに、生徒たちが週に2時間半もの時間を費やしに来てくれる。不思議です」と首をかしげる正子先生。
NJKにやってくる生徒たちは?
日本が経済の中心であった頃は、日本語を学ぼうとするビジネス関係者も学生もたくさんいた。今では誰しもが中国の経済発展に注目し、世界のビジネスが中国を目指している。そのなかで、人々の語学欲は日本語から中国語へと移行した。では、いったい今日本語を学びにNJKへ来る生徒たちはどのような目的を持っているのだろうか?NJKの生徒数の半分を占める大人。彼らはIT、アニメ、デザインなどのコンピューター関連の仕事に従事している。グレード9から12の生徒は、日本アニメの大ファン。最近はYouTubeやDVDで世界のどこにいても、日本のアニメを見られるようになった。生徒たちは「やったー!」「だれだー!」などのアニメ言葉はNJKに入学する時にはすでに知っているとのこと。テクノロジーの発展は言葉の普及にも貢献しているようだ。そして、「日本人の妻が寂しそうなので、日本語を学びたい」と言う、やさしいカナダ人の夫の生徒もいるそうだ。
NJKがオファーするもの
NJKの授業を受けても単位習得というメリットはない。しかしNJKでベーシック(コース4まで)を修了すると、日本語能力試験(Japanese Language Proficiency Test、略称JLPT)の4級をパスすることが可能だ。年に一度行われるこのテストを、バンクーバーでも受けることが出来る。2007年の受験者の10%はNJKの生徒たちが占めていた。ちなみに2008年度もNJKの多くの生徒がこのテストに挑戦する。4級20人、3級8人、2級5人、そしてなんと1級に挑戦する生徒が2人もいる。NJKの教授法は「言葉はコミュニケーションの媒体であり、実態を伴っているもの」という信念に基づいている。
指導者養成コース
このコースはひとクラス4人までという少人数制。今までの蜷川親義・正子両先生が蓄積してきた経験をすべて学べる。蜷川メソッドを基盤に自分のアレンジを加え、プレゼンテーションを行う。その段階でさらに先生のコメントが入る。「教師に必要な素質は、心を開いて一人ひとりの生徒を受け入れることができること」と正子先生は語る。NJKが今一番望んでいることは、「NJKメソッドを引き継いで本格的に教えていってくれる先生に出会えること」だそうだ。
(取材 フィッツジェラルド まり)
掲載:2008年10月23日 第44号
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