今年2月、ダウンタウンで人気の「金太郎」の姉妹店がリッチモンドにオープンした。「列治文公衆市場(リッチモンドマーケット)」の向かい側に位置する店内に入ると、大きなログのテーブルと壁に貼られた筆文字が目に飛び込む。内装には木がふんだんに使われていて民芸調の雰囲気だ。オープンからまだ日も浅いというのに、夜も6時を回る頃には45席もある店内にすでに待ち人が現れている状況。来店客は中国系の人ばかりかと思いきや、ナショナリティも年齢層も幅広い。
ラーメンといえば、まずはスープ。トンコツをメインに鶏ガラと魚介類も加えて、ぐらぐらと火にかけて煮出したスープは「火加減とアク取りが神経の遣いところ」と、このたび店長に抜擢されたコータローさんは語る。オーダーのときに選べる「あっさり」「ふつう」「こってり」の3種類のスープの違いは、ラードの量の違い。それぞれの味見をすると、ベースのコクがしっかりしているために、ラードの量では味そのものに違いはなく、とろみの程度であることがわかる。
選べるのはスープだけではない。チャーシューも「脂身あり」「脂身なし」の2種類から選べる。どちらもぎゅっと味がしみていて、ラーメンに使った残りの端切れだけを集めた「はんぱやろうチャーシュー皿」も人気であるとか。「これをラーメンに入れたり、お酒のつまみにしたりするお客様もいらっしゃいますね」とコータローさんは語る。
お次は麺に注目。醤油ラーメン($6.75 )をいただくと、麺にスープがしっかりからんで「これぞ日本のラーメン」と満足させてくれる。金太郎では麺製造専門業者に日本で製粉した小麦粉を使って腰が出るものを特注しているそうである。味噌ラーメン($7.25
)は、4種類の味噌に 種類の調味料を合わせており、その絶妙な味加減にプロの腕を感じさせる。
お薦めメニューはリッチモンド店限定メニューの「豚天ラーメン」($8.50)。豚の薄切りを特製の衣であえて天ぷらにしたものとゆで卵が一つコロンと載っている。この「豚天」がいける。和風仕立ての衣の隠し味の一つである紅ショウガが、油ものの味わいをすっきりと引き締めてくれる。心憎いのは、ゆで卵を半熟にしているところ。試行錯誤で行き着いた、コータローさん渾身の一品である。
またリッチモンド店での新企画、「うまい小さい丼」の「鮭丼」は、ご飯に刻み海苔、鮭のフレークとネギがのって、バターがちょこんとトッピング。「ご自由に召し上がっていいのですが、『ラーメンのスープをかけて食べるとおいしいよ』と提案させていただいています」とコータローさん。
さて「ダウンタウン店で人気の『山火事ラーメンは?』」と聞くと、将来的には出していきたいけれども、まだいつとは言えない状況とのこと。「今後は辛いラーメンも出していきたい」と語るコータローさん。ひっきりなしに注文が入り、ラーメン作りに没頭するコータローさんだが「ラーメン作りは好きですね。奥が深いです。作る度に発見がある。楽しいから大変とは思わないですね」と語る表情を見ているだけで、こちらまでうれしくなってくる。チャキチャキと陽気に働くスタッフとうまいラーメン。リッチモンドに新たな「うまい処」登場である。
(取材 平野香利)
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