好きでカナダに来たものの・・・たまには英語からも生活習慣の違いからも抜け出して、ゆっくり寛ぎたいときもある。ベイショアエリアのディベロッパーとして知られるブルーツリーグループの岡本裕明社長が、その開発の最終章として手がけたブルーツリーカフェは、まさに英語圏の中の癒しの場所。「ベイショアの住民が『つっかけ』で集まれる場所を作りたかった」という社長の思惑通り、そこは気軽に立ち寄れて、ホッとできるカフェだ。「こんにちは」と店に入ると「いらっしゃいませ」とすがすがしい笑顔で迎えられた。
将来を支える日本の若い人たちを育成
バンクーバー内で不動産開発、建設事業、マリーナ、駐車場管理、不動産業など、いろいろな分野で活躍する岡本社長。地元にしっかりと根を下ろし、競争社会で勝ち抜いてきた成功者は「私の現在の立場は、自分の会社のことばかりでなく、日本の将来をグローバルな視点で考えていくポジションだと思います」と語り出した。「私は日本の将来に不安を感じています。世界中で日本企業の地盤沈下が激しくなる一方で、企業は日本国内での競争に甘んじてしまっている。日本が国際社会での競争力を再び取り戻すために私ができることは、若い人たちを育てることだと思います」。岡本社長は、実際にワーキングホリデーで来加するたくさんの若い人たちに、自社の事業を通じて仕事のチャンスを提供している。ここで紹介するブルーツリーカフェも、スタッフの中心は日本人の若者だ。「日本の若い人たちは、高い教育を受けた後に来加する人が多いので、仕事に対する意欲も高いし、丁寧で、いい仕事をしてくれる。また自分で学ぼうとする気持ちがある。地元の若い人たちと比べても、いいものをたくさん持っていると思います。外の世界を見てみたいとワーキングホリデーで来た人たちに、いい経験と思い出を作ってもらいたい。そして将来、日本の国際化の役に立って欲しい」と成功者の目は鋭くも優しい。
「彼らが日本に帰った後も、しっかりと連絡をとっています」という社長の下で働いた人たちの中には、帰国後、海外とつながりのある仕事をしている人も少なくない。「英語力に不安のあるスタッフでも、最初から英語環境の中に突っ込んでいきます。うちの会社は、例えばカフェであれば、話し方、姿勢、接客の態度など、私自ら指導しながらチームワークを育んでいます。また、若い人のフレッシュな意見もどんどん取り入れていくようにしています」
期待されているのは、クオリティの高さ
「ベイショア開発は日本人がやったとみんな知っています。この店も自分がやっているとみんなが知っています。私に期待されていることは、クオリティの高さです。カフェでいうクオリティとは、食べ物や飲み物、サービスの質の良さ、店の雰囲気の良さにあります」。日本の都会的センスを取り入れたお洒落な店内は、明るく、クリーンで入りやすい。また、毎日でも立ち寄りたくなるような気軽な雰囲気だ。
自慢のコーヒー豆は「Casa de Caffe」、紅茶は「T」といずれも有名レストランやホテルで愛用されている高級ブランドを大胆にも導入。イタリアンスタイルを主流としたフードメニューも、どれもカフェの概念を覆すほどの本格派ぞろいだ。中でもお薦めの一つ「クロックムッシュ」(3.80ドル)は、グリエールチーズなど3種類のチーズとハムが入った、チーズ通にはたまらないホットサンドイッチ。お隣のウエスティンベイショアホテルから、これを目当てに訪れる人がいるほどの人気だとか。「エッグマフィンも卵がふわふわっとして美味しいんですよ」とは、世界中の美味しいものをを知り尽くす社長のお薦めだ。「ネイバーフッドカフェとして、毎日来てくださるお客様にも飽きられないように、常に新しいメニューも取り入れています。スタッフ手作りのものもありますし、本格イタリアンに日本の味を加えたオリジナルメニューもあります」
「笑顔以上の何かをお客様に還元したい」という岡本社長の下、スタッフはみんな気さくで、店には常連客との笑い声が耐えない。期待を裏切ることを許されない『あの彼』が作ったカフェは、やはり記者の期待を裏切らなかった。そして、また立ち寄ってみたいと思う何かを感じた。
(取材 船津美帆)
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