日本生まれ、モントリオール育ちのバイオリニスト、五明カレンさんが5月11日と13日、VSOと共演する。注目の若手アーティスト、五明カレンさんとはどんな人なのだろうか。

 

5歳のときから人前でバイオリンを弾いたそうですね。
スズキ・バイオリンで始めました。練習は好きではありませんでしたが、人前で演技するのが好きで、バイオリンを始める前はぬいぐるみを並べてテーブルの上に立って歌っていました。
7歳のときにオーケストラと共演し、9歳のときにシカゴで行われたスズキ教師の会議でドロシー・ディレイの公開レッスンで弾く機会があり、ジュリアード音楽院で勉強しないかと誘われました。そのときから真剣にバイオリンのことを考えるようになりました。

モントリオールではどんな暮らしをしていましたか?
母はビジュアル・アーティストでクリエイティブなことを勧めたので、カメラのフィルムやカセットテープでおもちゃを作ったり、絵を描いて遊びました。毎晩ベートーベンの『春のソナタ』を聴きながら寝ました。
フランス語の学校へ行っていましたが、土曜日にはお弁当を持って日本語補習校へ通いました。今でも暗算するときは『かけざん九九』を使っています。

世界で演奏していますね。
飛行機での移動や時差を乗り越えて最高の状態で演奏しなければならないので、公演先では観光はほとんどせず、出来る限りジョギングしたり好きな本を読みます。
ヨーロッパは静かに、良く聴いてくれる聴衆がいるのでとてもいいです。印象に残る会場はザルツブルグ芸術大学とウィーン楽友協会ホールです。

1703年製のストラディバリウス『Ex Foulis』を使っているそうですね。
魔法のような楽器を12年間使わせていただいています。純粋な音、温かくそしてパワーもあります。楽器の中に発見できることがたくさんあるのは驚きです。魂が宿っているような賢い楽器です。

VSOとは以前にも共演していますね。
VSOとの共演は昨年の夏のウィスラーが3度目で、とても楽しいものでした。
5月11日・13日はブラームスの『バイオリンとチェロのための二重協奏曲』を素晴らしいチェロ奏者のクリスチャン・ポルテラと演奏します。クリスチャンとはこの作品を何度も演奏していて、昨年ヨーロッパでも演奏しましたし、VSOと共演のあとスロベニアでも演奏します。
バイオリンとチェロの協奏曲を書いた作曲家はほかにはいません。ふたつの楽器が語り合ったり、歌うようなハーモニーのあと、第3楽章ではハンガリー風の力強いリズムがあります。それはブラームスが親友のハンガリア人のために書いたためです。

 

ごみょう・かれん:
1982年東京生まれ。2歳のときモントリオールに移住。5歳でバイオリンを始め、7才の時『イ・ムジチ・ド・モントリオール・コンクール』で審査員特別賞受賞。翌年ケベック・シンフォニーと共演。9才の時『カナダ音楽コンクール』で1位入賞。15歳の時ヤング・コンサート・アーティスト国際オーディションで優勝。2006年、ニューヨークの国連本部で開催されたテロの犠牲者のための最初のシンポジウムで演奏し、2009年にセントジョンディバイン大聖堂でニューヨーク・フィルハーモニックのメモリアルデーのコンサートにゲスト・ソリストとして出演。現在、ヨーロッパや北米で演奏活動を続けている。

 

5月11日(土)、13日(月)
オーフィアム・シアター、8:00開演
VSOバンクーバー・シンフォニー・オーケストラ
指揮:秋山和慶、カレン五明(バイオリン)、クリスチャン・ポルテラ(チェロ)
www.vancouversymphony.caまたは電話(604) 876-3434

 

2013年5月2日 18号掲載

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