BC州の健康保険(BCメディケア)に加入している人ならば、出産にあたり、検診も分娩にも特別な費用はかからない。出産後、入院できる時間は日本に比べとても短い。−これらはカナダでの出産にかかわる一般情報の1つだが、いざ自分自身が出産となった際、知りたいことはさまざまである。
今回は妊娠出産の時の病院との関わりに焦点を当てて田中朝絵医師に話を伺った。
田中朝絵医師 |
1.妊娠の兆候を自覚したときに、その人にファミリードクターがいない場合は、どこに行けば良いですか?
まず妊娠を確認するためには、ドラッグストアで妊娠検査薬を買って調べるのが一番早い方法です。その製品によって使える時期が異なります。生理予定日から1週間経過してから検査する方が結果は確実です。そしてファミリードクターがいなければウォークイン・クリニック(Walk
In Clinic)に行ってください。
2.ファミリードクターやウォークイン・クリニックでは、妊娠とわかった最初の検診でどんなことを聞かれますか?
まず本人が計画した妊娠だったかを尋ねます。そして産むことを希望する場合、最後の生理の始まった日、生理が何日周期であるか、本人の病歴や家族の病歴、夫の家族の病歴(精神的な病気やアルコール依存症などを含む)、妊娠歴のほか、輸血経験の有無、性病の有無、水疱瘡の経験の有無、本人の学歴、職業、食べているものは何か、宗教といったさまざまな情報を聞きます。
3.最初の検診をしてからは専門医に行くのが普通ですか?
かかりつけのファミリードクターが分娩に臨める場合は専門医に行く必要はありませんが、そうでない場合は分娩に立ち会えるファミリードクターか産婦人科医に送られることになります。、産婦人科に送られることになると、予約が取れるまでに時間のかかることが多く、3カ月待ちが普通です。妊娠12週から15週の間にするべき妊娠身体検査(Prenatal
Physical) がありますので、予約が遅い場合ドクターに聞いたほうが良いです。その他、Triple Screenが15週から20週の間にあります。これはダウン症の可能性を見る羊水検査を受けたほうがよいかどうかを判断するための検査です。35歳以上の妊婦はこの検査を飛ばして羊水検査をする人が多いですが、35歳以下の場合は、血液検査でTriple
Screen をしダウン症や脊椎の形成不全(Spina bifida)の可能性を診断します。
35歳以下の妊婦への羊水検査はBCメディケアの適用外ですが、35歳以下でもTriple Screenでダウン症の可能性が見られた場合は、BCメディケアが適用されます。
4.以後の検診のタイミングと検査内容、そのための準備を教えてください。
妊娠28週までは1カ月に一度、尿検査と血圧検査を行います。それ以降、36週までは2週に一度、36週を越えると週に一度の検診になります。受診日や前日も普通に過ごしていてかまいません。尿を取れるように準備しておくだけで結構です。
もし、頭痛が激しい、ひどく疲れる、手足がむくむ、痛み、また体調や胎児の異常を感じたら、定期検診外でもすぐ医師に診てもらう必要があります。
5.中絶しなければならない場合に必要な手続きはどんなことですか?
カナダは中絶をなるべくしないようにする国ですから、医者には基本的に産むことを勧められます。医学的、文化的にも日本ほど簡単に中絶手術は行えないことを理解しておいたほうがいいでしょう。
中絶することが決定であれば、ファミリードクターやウォークイン・クリニックドクターから専門医に紹介されます。薬で中絶が可能なのは妊娠7週前まで。その後は手術という処置になりますが、これも20週までです。そのため、中絶を決めるならなるべく早いほうが良いです。夫の了承などの手続きは不要です。
6.日本など他国で出産したい場合、BCメディケアが適用できる場合がありますか?
他国では適用になりません。
7.出産は個人が希望する病院でできるのですか?
できますが、出産間際に申し込もうとした場合は、「満員のため他の病院でお願いします」と病院側から言われる場合があります。
8.出産時に立会いが許されるのはパートナーだけですか?
だれでも可能ですがドクターに事前に許可をもらってください。
9.出産後、病院に滞在できる時間は?
最低1日ですが、その産婦の体の状態により期間が決まります。
10.無痛分娩のリクエストは可能ですか?
妊婦の状態によってできるできないがあります。また陣痛開始後、赤ちゃんが出てくるまで時間がないときは麻酔が間に合わない場合がありますし、麻酔のできる医師がそのときに他の患者にかかって妊婦に処置できない場合もあります。
11.帝王切開の場合、傷口を小さくなど、何かリクエストできることがありますか?
リクエストできますが、赤ちゃんの大きさや状態によって、それができない場合もあります。
当日、立ち会う医師が事前に相談していた医師でない場合もありますから、無痛分娩も帝王切開への要望なども、前もって英語のリストにして出産時に持参することをお勧めします。 以上が田中医師から伺った内容である。
その他の情報については、枠囲みを参照のこと。
<自宅で出産する方法>
助産婦の助けを得て病院以外で出産することもできる。費用はBCメディケアでカバーされる。
BC助産婦協会(Midwives Association of British Columbia)のウェブサイトhttp://www.bcmidwives.com/
にアクセスすると各地域の助産婦のリストが閲覧可能。
体験談などの情報も掲載されている。 |
<MOM出産準備教室>
妊婦の不安や疑問に答えながら妊娠指導を行う「MOM出産準備教室」は当地の日本語話者にとって貴重な存在である。
会場:日系ヘリテージセンター
時間:火曜日6:30〜9:00 全5回
講習の予定は弊紙コミュニティ欄に随時紹介。
問い合わせはTel :604-980-8539
momwestcanada@hotmail.comまで。 |
※この記事は2007年5月3日掲載
(取材 平野香利)
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