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貸し部屋探し時に注意
トラブルの多いセキュリティデポジット(2)



  弊紙にも報告が多く寄せられるアパート賃貸契約におけるデポジットでのトラブル。入居者側に否がないはずなのに、大家が返金してくれなかったとして、Residential Tenancy Officeに入居者が調停を申し込んだ例を本人から聞いた。

◆調停を申し込んだ理由を教えてください。

 「引越しした後も、理由らしい理由もなく、デポジットを返却していただけず、電話連絡をするとけんか腰で、話も聞いてもらえませんでした。あれこれ理由をつけては、意図的に返却を引き伸ばし、まったく返却する姿勢が見られなかった為に、法的に訴える手段をとることにしました」

◎デポジットの返金については
 ・ 契約を解除して部屋を出る際、1カ月以上前に通知 する
 ・ その場合、契約期間を過ぎていること
 ・ 部屋も通常の消耗以上に損害がない場合、大家側は 返金する義務がある。
 例えば入居時になかったカーペットの大きなシミ、引越し時に家具をぶつけて大きく壁を傷つけた、といった場合、両者のインスペクション(点検)に基づき、修理費などを大家側がデポジットから差し引くことはできる。しかし、このケースでは、デポジットを返金しない理由はなかったという。

◆調停を起こす前に何か準備をしましたか?
 「引越しした後に、デポジットの送付先を大家側に知らせた後、15日が経過していることが申請できる条件となっています。ですから、まず調停の申請をする前に、Eメールや郵便など書類として残る方法でデポジットの送付先を大家側に知らせました」


◎デポジットから控除を行なうのなら、入居前、および転出時に行なうインスペクションに基づき、相互に合意が必要だ。合意がなければ、大家側は明け渡しから15日以内に調停を求めなければならない。
 デポジットが返金されない、もしくは控除について双方の合意が得られないとして、大家から入居していた側へ調停請求の連絡が15日以内に行なわれない場合は、入居者は大家にデポジット返金を求めることができる。
 調停を起こすなら、口頭ではなく、書留郵便などを送付することで、通知したという事実を示す証拠を整えておこう。

◆調停手続きはどこで行いましたか?
 「RTO(Residential Tenancy Office)です。申請書と申請料50ドルを提出すると、ファイル番号のついた、パッケージが2通渡されます。1通はApplicant(申請者。今回の場合は入居者側)用。もう1通はRespondent(対して、大家側)で、これはRespondent用のほうは申請者自身で、Respondentへ書留で送る必要があります。パッケージには、Hearingの日付と、証拠書類の提出期限などが明記されているので、指示にしたがい、期限までに証拠書類をまとめ、RTOに提出しました。あとは、Hearingの日に出頭するだけです」

◎調停の申請料は、調停額が5000ドルまでなら$50、5000ドルを超えると$100だ。

◆証拠書類はどのようなものを用意しましたか。
 「私が作成した証拠書類は、インスペクションによる控除金額などでのトラブルではないので、基本的に、デポジットを支払ったという事実、まだ返却されていないという事実を証明するだけのものです。単純に聞こえるものですが、私の場合、現金で支払うよう言われており、また、領収書もいただいていなかったので、証明が難しかったです。
 大家が日本人だったので、安心してしまったのが一番の間違いでした。幸い、大家側とのメールのやりとりを調べると、「デポジットを受け取ったが、まだ返さない」という内容の文章がありましたので、そのメールを証拠書類として提出しました。 このメールがなければ、デポジットを渡したと証明するのがもっと難しくなっていたと思います」

◎証明が一番楽なのは、領収書をもらっておくこと。領収書をもらっていなかった、あるいは紛失しても、小切手なら銀行の記録でデポジットを支払ったことが比較的、簡単に証明できる。但し、大家側は、小切手は不渡り(バウンス)する危険があるので、嫌がることもある。

◆調停結果はどうでしたか?

 「支払ったデポジットの2倍の額+調停申請費用を大家側から入居者に支払うように命じた「オーダー」(法的な命令)を勝ち取りました。オーダーがでた後ですら、大家側からはなんの音沙汰もなかったために、こちらから、何度となく催促して、やっと支払ってもらえたという次第です」

◆調停での勝利を得るため、証拠書類を整える以外に何かしましたか?
 「私がラッキーだったのは、自分だけで戦わずに、間に入って中を取り持ってくださった方もいましたし、コンドの管理会社のプロパティマネジャーにも事情を話し、早く私に返却するよう指導する内容のメールを送ってもらいました。
 プロパティマネジャーが送ってくれたメールも証拠書類として提出しました。いろんな方々を巻き込んでしまいましたが、味方してくださる方は多ければ多いほど、客観的に見て、有利なのは確実だったと思います。
 大家は英語が達者ですし、調停は英語なので不安でしたが、通訳として、調停に誰か付き添ってもらえることも知りました。そこで、知り合いの方にお願いし、調停に同席していただきました。それもとても重要なことだと思います。
 このように調停までにいろんな証拠固めをし、本当にたくさんの方々に助けていただき、無事にデポジットを返却してもらうことができました」

◎Residential Tenancy Officeには、現在、日本人のインフォメーション・オフィサーも勤務している。事務所を訪れるとき、ジャパニーズ・インフォメーション・オフィサーと話したいと頼むと、最初から日本語で相談することも可能だ。

◆最後にコメントを。
 「私の最初のミスは、日本人だからといって安心して少し気を許してしまい、領収書をもらわなかったことです。どんな時も領収書は受け取り、保管しておくべきでした」

(取材 西川桂子)

Residential Tenancy Office

400 - 5021 Kingsway Burnaby (メトロタウンのそば)
Tel: 604-660-1020、604-660-3456
e-mail: HSRTO@gov.bc.ca

月〜金、8:30amから4:30pmまで
各種用紙や細かい情報はホームページ、www.rto.gov.bc.ca
インフォメーションオフィサーには日本人もいるので、日本語で相談したい場合は『Japanese Information Officer, please』とお願いしよう。


※この記事は2006年2月16日(第8号)掲載