● ひよこのマタニティライフ in バンクーバー NO.16 ●

2010年12月9日号(#50)にて掲載


2008年6月に初めての出産、ただいま育児に奮闘中の、文字通りひよこママの私。カナダでの妊娠生活を綴ります。



 分娩台に乗って数時間。ドクターの脅し(?)に恐れをなした私は、ついに麻酔を打つことにした。おかしなもので、麻酔をすると決めたとたん、まだ大丈夫と思っていた陣痛が、耐えられなくなる。注射のために、体の向きを変えるだけで拷問のよう。ヒイヒイ言いながら、なんとか背中をドクターに向け、麻酔を打って数十分。もう本当に、ウソみたいに痛みが引いていった。急速に体の力が抜けていくのを感じながら、「絶対、二人目は麻酔でしか生めないわ…」と密かに思う。

 そして、阿鼻叫喚の分娩室は、突然茶の間と化した。子宮口が開くまで、みんなでおしゃべりタイム。さっきまでは、痛みで訳がわからなくなっていたが、今度はリラックスしすぎて、またもや自分が分娩中であることを忘れていく。

 そんなこんなで約2時間。全然開かなかった子宮口が、あっという間に全開大に達していた。ドクター曰く、体や心がリラックスしたからよ、とのこと。人体って奥が深い…。

 そして、「じゃあ、そろそろプッシュしてみましょうか」とのドクターの号令で、いよいよ開始!…が、初めてのうえ、下半身にほとんど感覚がないので、どうしていいかわからない。ふつうなら、痛みで自然といきめるんだろうけど。とりあえず、「うーーーーん」と(お手洗いのときのように)踏ん張ってみた。「そうそう、そうよ!上手ね〜!」と、みんな、口々に褒めてくれる。さすがプロ。私は、いい気になって踏ん張りながらも、何のためにそれをしているのか、いまいち忘れている(笑)。

 そうして何度かプッシュしているうちに、体からなにかが押し出されるような感覚がわかってきた。どうも麻酔が切れてきたらしい。ドクター曰く、麻酔が効きすぎるとプッシュしにくくなるので、途中で麻酔が切れても追加はしないとのこと。…え、また陣痛?しかも今度はマックスの痛みよね??もう、すっかり麻酔にスポイルされた私は、これはやばい!!と、あらん限りの力でプッシュを始めた。もうすぐ赤ちゃんに会えるとか、そういうことは、完全に頭から消え去っていた(ごめんな我が子よ)。

(続く)