2016年8月18日 第34号

ことしも、当地、国際都市バンクーバーのコンベンションセンターで、8月5日から7日の3日間、アニメレボリューションが開催された。夏期の開催としては5回目、冬春期の開催と合わせて第7回目となる。毎回、カナダだけでなく、日本、アメリカ、はてはヨーロッパからもアニメファンが集まる。レクチャー、ショー、コスプレ、ショッピングと内容は盛り沢山。アニメレボリューションは、私たちを夢にあふれたアニメの世界へと誘う。

 

コスプレを楽しむ来場者

 

オープニングセレモニー

 初日の5日、華やかなオープニングセレモニーで幕を開けた。岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、夏らしい浴衣姿で挨拶に駆けつけ、「日本文化の面白さを知り、ぜひ日本に来てほしい」と熱いメッセージを送った。そのあとライブチューン(KZ)の作った最新のビデオがスクリーンで披露され、ゲスト、パネリストの紹介へと続いた。すでに会場は熱気、興奮で盛り上がっていた。

コンテスト

 ラブライブ!コンベンション・アイドルフェスティバルでは、予選を通過した4つのグループがダンスをし、観客が投票してトップを決める。トップに選ばれると、最終日のクロージングセレモニーで踊る機会が与えられる。それぞれのグループが工夫を凝らしたダンスを、音楽に合わせて踊る。今回は、かわいい衣装で息のあったダンスを披露したシグマ(sigma)が選ばれた。観客をぐいぐいと引き寄せるリズム。会場は一体となり、興奮に包まれた。

 一方、アイドル・プレリミナリーは、歌で勝負。審査員が選んだ10人は、最終日のファイナルへと進む。ファイナルに残ったケイトリン・ゴスさんは、『ノーゲーム・ノーライフ』のオープニングソング、『ディスゲーム』を歌った。歌の上手さ、そして日本人なみのきれいな日本語。日本のアニメには他の文化に見られない、深いコンセプトがあると言うケイトリンさん。サイエンスを勉強している19歳の学生であるケイトリンさんは、これからも日本文化や日本語を勉強し、歌い続けたいと話した。

タレントショー

 アニメレボリューションのタレントショーは、やはりアニメ好きには欠かせない。コスチュームに身を包んだ参加者が、バラエティに富んだ歌や踊りを披露する。今回はコンテストではなく、ショーケースとして楽しむことが目的とされた。申し込みをすれば、誰でも参加できる。が、中でも圧倒的に注目を集めたのがアルバート・セイギールさんだ。ティーンエイジ・フェスティバルやブリティッシュ・コロンビア州2015年のユース・タレントサーチなどで、すでに注目を浴びていて、フリーダンスで観客を魅了した。今回は『ピカチュウ』でスタートし、服を脱ぐたびに表情も変わり、どんどん観客を乗せていく。曲を聴き、イメージを頭で作りながらひと月かけてダンスを完成するという。将来はプロのダンサーとして世界で活躍したいと、 爽やかな笑顔で話した。

コスプレの魅力

 多くの来場者の楽しみの一つが、仮装で遊ぶコスプレだろう。ハロウィンなどのお祭りでは仮装で盛り上がるカナダ。それでもアニメレボリューションで見るコスプレは、また格別だ。『ポケモンゴー』が手頃に楽しめるゲームとして一気に注目を集めて以来、ポケモンの人気も復活し、ポケモンキャラクターも登場した。『ナルト』、『進撃の巨人』など、衣装とメイクでキャラクターになりきれる時間だ。

 6日に行われたコスプレコンテストは、コスプレファンには見逃せない。コンテスト参加者だけでなく、司会者、審査員、観客もコスチュームで、会場全体がコスプレパーティーのようだ。参加者は、舞台に上がるとポーズをとるだけでなく、スキットやダンスで観客を楽しませてくれる。『アサシンクリード・シンジケート』というゲームのキャラクターで現れた、ジェームス・マリアンディさんのチーム。衣装を作るのに2カ月かかったという。「アニメレボリューションは、友達と一緒に過ごしたり、新しい友人を作る絶好のチャンスです」と、ジェームスさんは楽しそうに話した。

特別ゲスト、ライブチューン(KZ)

 今回特に注目されたのが、音楽プロデューサーでDJのKZさんだ。ライブチューンの名前でなじみがあるが、現在は単独でKZとして活動を続けている。「初音ミク」のポップミュージックや、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」、「ニセコイ」などのテーマソングを手がけてきた。インタビュー、音楽のデモンストレーションなど、普段は絶対に見られないKZさんの素顔を、垣間見ることができた。 プレスインタビューに現れたKZさんは、丁寧に記者の質問に答えた。音楽を始めたきっかけは、小学校のとき、親に連れられて行った坂本龍一のコンサートで受けた衝撃だそうだ。音楽を志す若者には、幅広いジャンルの音楽を聴きながら、やり続けることが大事だとアドバイス。自分自身も日々新しい音楽に出会い、友人のミュージシャンの音楽や、彼らが勧める音楽を聴くことによって、インスピレーションをもらっていると語った。  また今回は、日本から声優の関俊彦さん、藤村歩さん、朴璐美(パク・ロミ)さん、音楽監督の高寺たけしさんらもゲストとして招かれた。

ボランティアパワー

 総入場者数は3日間で約2万人。だが、その成功の裏で盛り上げているボランティアの力を忘れてはならないだろう。受付、案内、会場整理を200人のボランティアが受け持つ。テキパキとした受け答え、仕事ぶりは気持ち良く、明るいカラーのユニフォームを着ているのですぐに見つけることができる。毎年ボランティアで来ているという松原よしさんは、「大変だけど大変じゃない。お客さんもスタッフも一緒に楽しめるところがいいです」と、にっこりと笑顔で答えた。栗山ゆうりさんは、「団結して大きなイベントを作り上げるのが楽しい。人生でとてもいい経験をさせてもらっています」と目を輝かせながら話した。

終わり、そして始まり

 3日間の興奮は、あっという間に過ぎ去り、それぞれが日常生活に戻っていく。プログラムのコーディネーターの1人、ジェレミー・アンドロソフさんは、「今回は5周年記念で、多くのイベントが続いているので、疲れは感じます。ですが、絶対飽きることはありません」と感想を述べた。今後の抱負を尋ねると、「アニメだけでなく、コスプレや声優に興味のある人にも、年齢関係なく、誰でもぜひ来てもらいたいです」と熱く語った。次の開催は冬、2017年2月11日、12日。バンクーバー市の隣、バーナビー市のアート・インスティチュートで開催予定。新しい会場で何が起きるのか、今から楽しみだ。

(取材 松本 睦)

 

オープニングで挨拶のことばを述べる岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(Photo by AniRevo Media Team)

 

ラブライブ!コンベンション・アイドルフェスティバルでトップに選ばれたシグマ(Photo by AniRevo Media Team)

 

注目を集めたアルバート・セイギールさん(Photo by AniRevo Media Team)

 

ディスゲームをアイドルプレリミナリーで歌うケイトリンさん

 

アサシンクリードシンジケートのキャラクターに扮するジェームスのチーム(Photo by AniRevo Media Team)

 

コスプレコンテストでスキットで優勝したチーム

 

コスプレを楽しむ来場者

 

特別ゲスト、KZさん(Photo by AniRevo Media Team)

 

特別ゲスト、KZさん(Photo by AniRevo Media Team)

 

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