SPECIAL 2010

2010年2月18日 第8号 掲載


オリンピック フリースタイルスキーモーグル観戦レポート
モーグル女子、上村選手は4位、村田選手8位。男子は遠藤選手が7位に入賞


試合翌日、記者会見に臨むビロドー選手。パーティをしていたわけでもないのに睡眠時間3時間と笑って記者の質問に答えていた(写真 三島直美)

予選が終わって応援に来ていた友人たちと話をする西選手
(写真 三島直美)

西選手とはモーグルを一緒にやった仲というバンクーバー在住の平松憲二さん。西選手の応援に力が入る
(写真 三島直美)

日本から駆け付けた附田選手応援団(写真 三島直美)

 

フリースタイルスキー男女モーグルがサイプレスマウンテンで13、14日に行われた。日本からは男女とも4選手が出場。各自の目標に向かって、それぞれのオリンピックを迎えた。

モーグル女子は4選手全員が決勝へ

 13日に行われた女子は、降りしきる雨の中で決行された。決勝が行われた夜7時半ごろには、風や霧も出てコンディションは最悪だった。

 日本代表選手は、上村愛子選手(北野建設)、伊藤みき選手(中京大)、里谷多英選手(フジテレビ)、村田愛里咲選手(北翔大)の4人で、全員が決勝に進んだ。

 結果は、上村選手が惜しくもメダルに届かず4位、伊藤選手が12位、五輪出場5回目の里谷選手は転倒が響いて19位、最年少の村田選手が8位入賞を果たした。

 バンクーバーのみならず、日本からも多くのファンがこの日は応援に駆けつけていた。観客席には、日の丸が多くみられ、それぞれの選手の名前を書いた横断幕も目に付いた。

 土砂降りの雨の中、ファンは選手たちに熱い声援を送り続けた。選手たちにもその声はきっと聞こえていたに違いない。

男子は遠藤選手が7位入賞

 翌14日に行われた男子は、前日とは打って変わってすっきりと晴れ上がった気持ちの良い青空の下で行われた。

 日本代表選手は4人が出場。附田雄剛選手(リステルホテル)、西伸幸選手(白馬村スキークラブ)、尾崎快選手(早大)、遠藤尚選手(忍建設)。尾崎選手を除く3人が決勝に進み、19歳初出場の遠藤選手が日本勢初の7位入賞を果たした。西選手は9位、附田選手は17位だった。

 天候が良かったこともあり、西選手や遠藤選手は、予選と決勝の合間に、友人と話をするなどリラックスした姿も見られた。

 この日も、多くの日本人応援団が駆けつけ、4人の選手に大きな声援を送っていた。

カナダは男子ビロドーが金メダル、女子ハイルが銀メダル

 14日、カナダに待望の金メダルが輝いた。予選を2位で通過したアレクサンドル・ビロドー選手は、決勝でも最高の滑りとエアを見せ、金メダル候補のひとりオーストラリアのベッグスミス選手を抜いて1位に躍り出た。残りはフランスのコラ選手ただ一人。かたずをのんで見守っていた会場は、ビロドー選手の金メダルを確認すると、大歓声が沸き上がり、大きく揺れるメープルリーフで真っ赤に染まった。

 カナダが待ちに待った瞬間だった。選手たちには重圧もあったに違いない。カナダで開催された1976年夏季モントリオール大会、88年冬季カルガリー大会、いずれも金メダルはゼロ。そのカナダに地元開催初の金メダルがもたらされた。

 翌日、記者会見に臨んだビロドー選手は、「昨日までは普通の人だったのに、一晩明けるとヒーローになっていた」と笑った。カナダが誇るNHLのスーパースター、ウェイン・グレツキーさんと握手を交わし、同等の扱いを受けることに、少しはにかんでいた。「カナダはまだまだこれから。パーティは今から始まる」と記者団を笑わせた。

 金メダル第1号の期待がかかった女子のジェニファー・ハイル選手は、予選を2位で通過、決勝でも予選1位だったアメリカのカーニーを抜けずに銀メダルとなった。

成長するモーグルチームにこれからも期待

 モーグルはオリンピックも含めて3回、サイプレスで試合が行われた。オリンピック開催がバンクーバーに決まり、トリノ五輪の後、2008年2月にサイプレスで初めてモーグルのW杯が開催された。

 残念ながら3年前は濃霧のため試合は男子の一部を終え、中止となった。まだテントしかなった会場で、霧が晴れるのを待っていた選手たちの姿をよく覚えている。

 去年もまた2月にサイプレスでW杯が開催された。オリンピックテスト大会としてメディアも日本から駆け付け、注目を集めた試合だった。各選手「来年に向け、がんばります」と言って日本の大会で上村選手や西選手がオリンピック出場を決めたのは翌月のことだった。

 あれから1年。1年に1度しか会えない七夕の織姫と彦星のようだが、モーグルチームとしてまた帰ってきてくれたことをうれしく思った。

 モーグルの選手たちは、個人種目なのにまるで団体競技のように仲がいい。どの選手も他の選手の活躍を自分のことのように喜ぶ。去年ここで2位に入った附田選手をみんなで胴上げした姿は印象的だった。今回メダルは逃したものの、こうしてチームで戦ってきた成果が若い選手たちの活躍に結びついたに違いない。

 ある選手が言っていた。すごい選手であることを証明するために五輪メダルを取る必要はない。一流選手はメダルがなくても一流選手だと。この言葉は、今回のモーグル日本代表選手たちにも当てはまる気がした。

 今回のような天候不順問題があっては、今後バンクーバーにモーグル大会が戻ってくるかは微妙だが、バンクーバーでの経験を生かして、大きく成長したモーグルチームにまた会える日を期待したいと思う。    

 

(取材 三島直美)