MAPLE 2010
2010年8月26日 第35号 掲載
 

VMOのコンサートに
バイオリニスト 松本 蘭さん(2009年度ミス着物)


■バイオリン、チェロ、ピアノによるトリプル・コンチェルト(三重協奏曲)

9月12日、バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)今シーズン皮切りのコンサートで、バイオリニスト、松本蘭さんがカナダデビューする。松本さんは昨年ワーナーよりソロデビュー。2009年度ミス日本グランプリ決定コンテストにてミス日本「ミス着物」を受賞するなど、話題の新人だ。

 


松本蘭さん(撮影:本間裕介)

練習中に笑顔を見せる松本蘭さん(撮影:本間裕介)

コンサートでの松本蘭さん
(撮影:本間裕介)

 

バイオリニスト、2009年度『ミス着物』
松本蘭さんにインタビュー


■バイオリンを始めたきっかけ、その魅力について聞かせてください。

 バイオリンは3歳から始めました。その当時流行っていた住宅のコマーシャルの中で、女優の宮沢りえさんがバイオリンを弾いていたそうなのですが、それを見た母が「可愛い!」と思い、私にバイオリンを持たせたのが始まりです。バイオリンを弾くという、見た目が可愛いと思ったから持たせたという母の軽い気持ちとは裏腹に、私はどんどん音楽にのめり込んでいきました。
 自分の心の中にある、言葉では表現出来ないような複雑な感情を、バイオリンを通してだと素直に表現出来るところが何よりの魅力で、それがこれまでずっとやって来た理由かなと思います。

■VMOコンサートへのきっかけは?

 ケンさんは大学の先輩にあたりますが、実際に大学で会ったことは一度くらいしかありません。彼とは2003年のパシフィック・ミュージック・フェスティバルで出会いました。私は19歳の頃、アカデミー生として参加していて、彼はアシスタントで来ていたのです。
 2〜3年前くらいから彼の活躍が耳に入るようになり、そして彼の耳にも私の話が入るようになり、それから頻繁にコンタクトするようになりました。9月のコンサートのソリストに誘ってくれたときはとても驚きましたが、彼がくれたこの素晴らしい機会に心から感謝しています。


■『トリプル・コンチェルト』について聞かせてください。

 ベートーベンのトリプル・コンチェルトは、3人のソリストが競演するとても素晴らしい曲です。3人の個性をぶつけ合いながらも、お互いに思いやりを持ってコミュニケーションを取り、オーケストラの皆さんと一緒にひとつの音楽を創り上げていくのです。ソリストがひとりの普通のコンチェルトとは違い、音楽の喜びもまた、一際大きくなります。
 文化や言葉の違いはあっても、音楽で楽しい会話が出来て、音楽を一緒に奏でられるのはとても素晴らしいことです。彼らと演奏するのがとても楽しみです。

■2009年度ミス日本「ミス着物」でもありますね。

 これも実は母なのです。私が知らない間に、母が内緒で書類をミス日本に送ってしまったのが始まりです。とんとん拍子に書類選考に通ってしまい、母から「実は…」と打ち明けられたとき、すごくケンカをしました。私は演奏家として生きていこうとしているのにミスコンなんて全然興味がなかった。「どうして私に黙って勝手なことをするの!」と。
 でも「年齢的にもこれが最後のチャンスだと思うから、親孝行だと思って出て欲しい」と言われて、しぶしぶ出ることにしたのです。そこから、あれよあれよで最終選考まで残り、幸運にもトップ5に選ばれ、そしてミス着物の称号を頂いたのです。母は誰よりも喜んでくれました。


■「ミス着物」の称号は演奏家としての松本さんにどう影響していますか?

 ミス日本の審査の前にウォーキングレッスン、話し方、カラーコーディネイト、ドレスの選び方などの勉強会があるのですが、私の場合それがすべてステージに直結したので、すごく良かったです。バイオリニストとしての軸が一本私の中にゆるぎのないものがあったので、ミス着物になってからも、そう大きく変わった事はありません。(受賞後)変わったことと言えば、着物でバイオリンを弾いてくださいという要望が増えたくらいでしょうか…。(笑)冗談ですが。
 ただ、これまでクラシック音楽に興味の無かった人が、ミス日本という私を通して興味を持ってくれたことは、とても嬉しいことです。きっかけが何であれ、素晴らしいクラシック音楽の世界に足を踏み入れてくれる人が増えるのは、喜ばしいことです。


■バイオリンのほかに興味のあることは?

 ピアノは6歳から始めました。スポーツも活発にしていました。2人の兄といつも一緒に泥んこになって遊んでいました。
 小さい頃から水泳、スキーが得意です。水泳は遠泳の選手に選ばれたこともありました。幼い頃から背が高かったので、一度シンクロのコーチにスカウトされたこともあったくらいです。スキーは大好きで、昔は毎年必ず滑りに行っていましたが、最近はなかなか行けず残念に思っています。

■カナダ初演への豊富を

 海外でのコンサートもカナダへ行くのも初めてです。ドキドキしますが、バンクーバーは世界で一番美しく、そして住みやすい街としてとても有名です。美しい自然や、美しい建物、美味しい食事、そしてバンクーバーの皆さんにお会い出来ることをとても楽しみにしています。
(取材 ルイーズ阿久沢)



松本蘭(まつもと・らん)
桐朋学園大学卒業。3歳でバイオリンを始め、これまでに徳永ニ男氏に師事。第6回大阪国際音楽コンクール第1位。併せて大阪市長賞受賞。03年パシフィック・ミュージック・フェスティバル、04年シュレスビッヒ・ホルシュタイン音楽祭に奨学生とし参加する他、第9〜15回宮崎国際音楽祭に参加。09年8月ワーナーよりソロデビュー。アルバムがiTunes限定で先行配信され、クラシックチャートで第1位獲得。東京交響楽団、ロイヤルチェンバーオーケストラ、京都市交響楽団などと共演。また09年度ミス日本グランプリ決定コンテストにて、ミス日本「ミス着物」を受賞。10年日経CNBCイメージキャラクターに抜擢。活動の幅を更に広げている。


若手音楽家によるトリプル・コンチェルト
ケン・シェ氏からのメッセージ



コンサートについて語るケン・シェ氏

 若手音楽家育成のための活動を続けるVMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ。9月12日に行われる第8回定期コンサートにはバイオリンの松本蘭さん、チェロの ルーク・キムさん(韓国) 、 ピアノのエイミー・リーさん(韓国)らを迎え、ベートーべンのトリプル・コンチェルトを演奏する。
 松本さんはケン・シェ氏(VMO音楽監督件首席指揮者)の大学の後輩にあたる。今回ソリストに選ばれた理由について、ケン・シェ氏は次のように語る。
「まだ26歳ながら、すでに注目を浴びているバイオリニストです。こうした新鋭音楽家が、日本とは違った北米の音楽界で演奏するのは、とてもいい機会だと思います。ルーク・キムやエイミー・リーとの競演も、お互いが刺激し合っていい経験になることでしょう。バンクーバーでの演奏が彼女らにインスピレーションを与え、将来またここで演奏する機会に結びつくことを願っています」

○VMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ
室内管弦楽団 第8回定期コンサート

指揮:ケン・シェ
バイオリン:松本 蘭
チェロ:ルーク・キム
ピアノ:エイミー・リー

■9月12日(日)プレトーク 1:15pm 開演2:00pm
■Michael J. Foxシアター
■入場料 一般$25
■チケットはリッチモンドTom Lee Musicまたは
 info@vmocanada.com / www.vmocanada.com