MAPLE 2010
2010年3月18日 第12号 掲載
 

パラリンピック開幕!! “One Inspires Many”
未来につなぐパラリンピックへの希望の輪

 


一気に幻想的な雰囲気に

満員の観客がカナダの入場を大歓声で迎える

本選手団入場(写真 / 野口英雄)

選手と子供たちの笑顔が溢れる華やかなセレモニー。第10回冬季パラリンピックバンクーバー大会の幕開けを告げる開会式が3月12日BCプレースで行われた。
会場は6万人の観客でグリーン、ライトブルー、ブルー、ホワイトのパラリンピックロゴがデザインされ、“One Inspires Many”をテーマに、パラリンピックならではのさまざまな趣向を凝らした演出が散りばめられていた。


ルオンゴ選手が点火した聖火を前に、和太鼓を披露するリッチモンドのTETSU太鼓


 

 

 

 

 

 

日本選手団、堂々の入場行進



満員の観客がカナダの入場を大歓声で迎える(写真 / 野口英雄)

 日本選手団はイタリアの次だった。“Japan”が会場中に響き渡ると大歓声が起こった。入場行進した国々の中でも最大級の大選手団。旗手を務めたアイススレッジホッケーの遠藤隆行主将を筆頭に、ウィスラーからも参加した選手たちが日の丸の小旗を振りながら入場行進した。

 最後に入場したのは開催国カナダ。メープルリーフが見えると会場はカナダの場内アナウンスが入る前に大音響の歓声が響き渡った。

 選手団の入場行進を出迎えたのは子供たち。アップテンポな音楽が流れる中、メープルリーフ柄やロゴカラーに身を包んだ多くの子供たちが、両側に並び選手たちを笑顔で迎え入れた。

 「すごい数の観客で驚きました」と日本選手。6万人による一大スペクタクルは圧巻だった。

 

“One Inspires Many”



リック・ハンセンさんの紹介映像が頭上に流れる(写真 / 野口英雄)

 開会式のテーマ“One Inspires Many”を象徴する二人のカナディアンが紹介された。

 ひとりはオリンピックで聖火ランナーを務めたリック・ハンセンさん。障害者の可能性を訴え、車いすで世界を一周する“Man in Motion World Tour”を実行。世界中に多くの感動と勇気を与えた。

 そして、もう一人はテリー・フォックスさん。ガンで片足を失った彼は義足で3339マイルを143日間かけてカナダ横断。その様子が会場中央に映し出されると観客は息をのんで、そのストーリーに注視した。そして、テリーさんの両親、ベティ、ロリー・フォックスさんが聖火を掲げて入場すると会場は大きな拍手でテリーさんと両親を包んだ。


35年前テリー・フォックスさんが始めた運動は、現在世界中でその精神が受け継がれている(写真 / 野口英雄)

 

 

 

 

 

 

4年に一度の祭典、主役は選手と子供たち

 


テリーさんの両親、ベティ、ロリー・フォックスさんが聖火を掲げて入場(写真 / 野口英雄)


 バンクーバーオリンピック・パラリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)ジョン・ファーロングCEOは、「スポーツは私たちの共通語です。不可能という言葉はパラリンピアンたちの前ではただの単語に過ぎず、選手それぞれが私たちに感動を与えてくれます。パラリンピアンとしてこの場に出場するためにこれまで費やしてきた膨大な量の時間と努力に心から感謝します」と、この4年に一度の舞台はあなたたちのためだけにある、夢をあきらめないことを、すべてが可能であることを証明してくれた選手たち全員にこの舞台を楽しんでほしいとメッセージを送った。

 開会式は、人間の可能性と子供たちの明るい未来への可能性に満ち溢れていた。


国際パラリンピック委員会サー・フィリップ・クレイバン会長(左)とVANOCフォーロングCEO(写真 / 野口英雄)

足に障害を持つルカ・レイジーレッグズ・パチューリさんのブレイクダンス。会場からはその見事な動きにどよめきが起こっていた(写真 / 野口英雄)

 

 

 

 

 



 ブレイクダンスで会場を沸かせたルカ・レイジーレッグズ・パチューリさん、スケートボーダーと一緒に車いすで宙返りをするアクロバットショーなど、目を奪われる演出の数々に会場からは大きなどよめきが起こった。

 そして開会式を終始彩っていたのは、子供たちの笑顔。最終聖火ランナーは15歳のザック・ビューモント君。右ひざから下が義足でも、スノーボード、サッカー、自転車、水泳とこなすスポーツ万能選手。ザック君の聖火点火で、バンクーバーに再び聖火が灯り、熱い9日間の闘いの火ぶたが切って落とされた。


みんなの力で聖火台に聖火が灯された。大役を務め、中央で大きく手を挙げているのはザック君(写真 / 野口英雄)

灯された聖火の前で楽しそうに踊る子供たち

 

 

 

 

 

 

 

バンクーバーに再び聖火が灯る



ロブソンスクエアから開始された24時間聖火リレー第1走者に聖火が点火。

 2月28日、オリンピック閉幕とともに一度消された聖火が、再びバンクーバーに灯された。3月3日、オタワで点火されたパラリンピック聖火は10日間をかけてバンクーバーに到着。開会式前日11日は24時間連続聖火リレーがダウンタウンで行われた。

 あいにくの雨の中、聖火ランナーたちはそれぞれの思いを胸に聖火を握りしめ、自分たちの役割を果たした。

 その聖火ランナーの中には、オリンピック金メダリスト、バンクーバー・カナックスのゴールキーパー、ロベルト・ルオンゴ選手も含まれていた。「今回パラリンピックの聖火ランナーとして走ることができてすごく光栄」とルオンゴ選手。高々と聖火を掲げ、沿道に詰めかけた多くのファンに笑顔で手を振りながら、ゆっくりとGEプラザへと向かった。

 リレー終了後記者に囲まれ、金メダルをチームメートに見せたかとの質問に、「もちろん」と答え、「まず最初に(決勝でカナダに負けて銀メダルに終わったアメリカ代表の)ライアン(ケスラー)に見せたよ」と笑った。

 聖火は再びウォーターフロントにある聖火台に灯された。パラリンピック期間中はオリンピック同様、一般に公開されている。


聖火を掲げてロブソン通りを笑顔で歩くルオンゴ選手。3月11日

 

 

 

 

 

 

 

 

(取材 三島直美)