SPECIAL 2009

2009年7月30日 第30号 掲載


2009年度日加商工会議所主催不動産セミナー
「今が買いどき?ファーストバイヤーのための不動産購入術」


セミナーの講師。左から、村上さん、浜野さん、中里さん、カッドールさん

 2009年度日加商工会議所主催の不動産セミナーが6月10日モーゲージグループにて開催された。テーマは『ファーストバイヤーのための不動産購入術』。

 去年アメリカで起こったサブプライム問題を発端に世界経済が急速に悪化し、それまで好調だったバンクーバーの不動産業界も価格が急落、その傾向は今年に入っても一層速度を上げている。

 しかし、悪いことばかりではない。それまで売り手市場と言われ、ファーストバイヤーには手が出しづらかった状況が一転、買い手市場となり、政府の補助、金利の低下で夢のマイホームが再び現実のものとなりつつある。

 そこで今回、不動産売買のスペシャリスト4人が、不安の多い初めての不動産購入において、ファーストバイヤーが知っておくと必ず役立つ不動産購入ポイントをセミナーした。

「初めての不動産の買い方」
―Sutton Group Associate Broker村上丈二さん―
■不動産を買うなら不動産業者を使う
 不動産物件の見つけ方にはいろいろあるが、最も効率がいいのはサービスのよい不動産業者を使うこと。そのメリットは、(1)不動産業者に対して手数料がかからないこと、(2)安全な不動産の購入に、業者としての経験知識が利用できること、(3)ウェブサイトに出る物件よりも、より速くより正確な物件情報を入手していること、(4)住宅ローンが必要な人にはその情報も提供してくれることなどがある。
 不動産情報を自分で確認したい場合は、グレーターバンクーバー不動産協会が管理するwww.realtylink.orgが最適サイト。

■不動産購入までの流れ
・ほしい物件が見つかるとまずは、売り手側にOfferを出す。購入希望金額、決済引渡し期日など必要事項を不動産協会指定の書類に記入して提出する。条件(売り手に対する買い手側のこの時点での不確定事項)を明確に伝えることが重要。
・価格交渉が成立すると仮契約。
・仮契約中にOffer時に提出した条件を解決していく。条件には、銀行による住宅ローンの確約や物件の調査・確認などが含まれる。
・すべての条件を満たすと本契約が成立。Offer時に記載した決済日までに決済手続きを行い、登記完了、引き渡しとなる。

■注意点
 住宅購入時には、登記手続費用(登記手続きを依頼する弁護士、または司法書士に支払う費用。一般的には1000ドル程度が相場)や、新築住宅を購入する場合GST5%など、諸経費が必要となる。不動産購入時にはこうした経費も考慮してOffer金額を提示するとよい。

 不動産売買について、専門家であるRealtorと呼ばれる資格を有する不動産業者に依頼すると、物件探しから引き渡しまでの手続きを請け負ってもらえる。質のいいRealtorを見つけることもポイントになる。

村上丈二さん
Sutton Group-West Coast Realty Associate Broker
1990年に資格を取得。
連絡先:TEL 604-240-3541 Email:jmurakami@telus.net
HP: www.sutton.com(英語)www.jmurakami.com(日本語)


「環境に配慮した住宅に注目」

―Sutton Group Realtorマット・カッドールさん―
 最近、環境に配慮した住宅建築が声高に叫ばれている。カナダでは、2009年3月、カナダ独自のLEED基準を発表。これに基づき、今後は環境に配慮しているかどうかが、建築や融資の基準に利用される可能性が出てきた。

■LEEDとは
 LEEDとは、The Leadership in Energy and Environmental Design の略で、Green Building Rating SystemTMとして世界的な環境配慮住宅基準となっている。
 2009年3月3日に発表されたカナダ版LEEDは、アメリカのシステムを適用したもので、今後カナダでも住宅建築の基準として用いられる。

■環境基準が住宅にもたらす影響
 今後は住宅建築計画の段階から、この環境基準を意識した投資や設備が必要になるのではと考えられる。
 例えば、商業住宅に限らず一般住宅でも、エネルギー効率を意識した設備、使用した水の再利用設備やエネルギー効率をよくした暖房設備などを備えた建築が将来的には一般化され、こうした設備を備えているかどうかが、住宅ローン査定の一部に組み込まれるのではないかと予測されている。
 そうなれば、住宅建築だけではなく、購入住宅の選択の仕方も将来的には変わってくるのは必然とみられている。

■バンクーバーの環境住宅情報発信センター
 2006年3月、カナダで初めての環境住宅情報発信センター、Light House Sustainable Building Centre(www.sustainablebuildingcentre.com)が、バンクーバーのグランビルアイランドにオープンした。

 Light House Sustainable Building Centreは、カナダ政府、BC州政府の支援による非営利団体で、環境にやさしい住宅が経済的な価値も生み出すことなど、国民の環境住宅に対する理解を深める場として提供されている。

マット・カッドール(Matt Kadioxglu)さん
Sutton Group-West Coast Realty Realtor
連絡先:TEL 604-257-8888 Email: mkadioglu@sutton.com


「ファーストバイヤーのための住宅ローンガイド」

―住宅ローンスペシャリスト ハイディ浜野さん―
■不動産購入時に発生する経費
 不動産購入時には諸経費が掛かる。ファーストバイヤーでも必要となる経費の主なものは、頭金(購入価格の最低5%)
登記手続費用(弁護士や司法書士への費用など)、GST5%(新築物件を購入した場合。中古物件ではファーストバイヤーは免除)など。
 Property Transfer Taxは、ファーストバイヤーは購入価格42万5000ドルまで免除されている。

■住宅ローン申請前の注意点
 以下のような注意点があげられる。
・頭金の証明など、必要な準備書類を確認して整える。
・負債責務を増やさない(新規にカーローンやクレジットカードなどを開設しない)。
・支払責務は不動産購入プロセス開始の1年前から厳守すること。
・クレジットヒストリーが1年以上存在していること。

■借入可能額を知る
 ポイントはクレジットスコアが680点以上あるかどうかということ。クレジットスコアが680点以上の場合、44%のDebt Ratioが認められ借入金が高くなるが、680点以下だと、通常32%のDebt Ratioで借入金が計算される。
 そうすると、同じ収入でも借入額に差が出てくるため、返済計画などが変わってくる。
 クレジットスコアはなるべく高い方がいいということ。自分のクレジットスコアの確認はウェブサイトで可能。http://www.equifax.com/home/en_ca
 クレジットスコアを伸ばすには、負債債務を期日までに支払い、滞納しないこと。クレジットスコアの獲得はなかなか難しいが、失うのは簡単だということを覚えておく。
 住宅ローンを考えている場合は、1年以上前からクレジットスコアを上げる対策を講じておくことがポイント。

■不動産購入へのファーストステップ
 大事なことは、自分のライフプランを明白にしておくこと。キャッシュフローの再点検(住宅ローンの支払額、支出など)、不動産購入が今の時点で自分にとってベストな選択か?などを検討したうえで購入、住宅ローンという選択肢を考える。
 住宅ローンが必要となった場合は、スペシャリストに相談することもうまく住宅ローンを使うポイント。AMPを取得しているかどうかが、信頼のおけるスペシャリストかどうかのひとつの目安となる。

ハイディ浜野さん
The Mortgage group Mortgage specialist AMP資格者
連絡先:TEL 604-250-7649 Email:heidi@mortgagegrp.com
HP: http://www.hamanomortgages.com


「ファーストタイムバイヤーからファーストタイムインベスターへの第一歩」

―Oak West Realty代表中谷陽里さん―
 不動産購入の目的が、初めての不動産投資のための説明。不動産投資をしたいと考えている場合、大きく4つのポイントがある。

■資金と借入金
 資金はいくら準備すればいいのか。これは、資金(頭金)と借入金のバランスを考えて計算する。ポイントは、この二つのバランスを考えるとき、最善と最悪のケースを予想しておくこと。個人予算はそれぞれなので、自分の目的にあったバランスを考える。
 また、不動産投資を考えている時に、頭金が貯まるまで永遠と待たないこと。借入金を使って物件を買うことも選択肢の一つとして検討すること。

■投資目的を決める
 短期受動型投資(Passive)、短期積極型投資(Active)、長期受動型投資(Passive)かを決定する。
 不動産の投資目的とタイミングは密接に関係しているので、目的が明確でもタイミングによってはうまくいかないこともあるということを考慮して、短期投資目的でも、長期投資への変更も可能かなどを検討しておくこと。

■不動産市場 いつ購入したらいいのか
 購入時期については、自分でリサーチしたり、専門家のアドバイスを受けたりして、市場動向を確認する。購入時期は、投資目的にあったタイミングを選ぶことが成功へのカギ。これがなかなか難しいが、予想通りに行かなかった場合も検討しておくこと。

■予算と計画 購入して利益を得られるか
 実際、購入して利益を得られるのかというのが、不動産投資家の最も興味のあるところ。その実現のためにも、予算計画は、現実的な数字で立てること、必要と思われる経費・出費を全部計算に入れておくことが重要。
 ここを甘く見積もっていると購入後に思わぬ出費がかさみ、計画通りにいかなくなる大きな原因となる。
 予算の計画でも、最善、最悪の場合を想定しておくことが、最終的に利益につながる近道となる。
 不動産投資で莫大な利益を上げるというのはなかなか難しいもの。自分の目的にあった計画的な投資が成功の秘訣。優秀なアドバイザーを見つけるのも一つのカギとなる。

中谷陽里さん
Oak West Realty 代表
連絡先:TEL 604-731-1400 Email:yori@oakwest.net
HP: http://oakwest.net

 

(取材 三島直美)