MAPLE 2009
2009年12月17日 第51号 掲載
 

初めての犬
ドッグトレーナーによる『これだけは!』



Puppy Classで子犬をしつけるロズさん
 


 初めて犬を飼う人にとってはいくら犬が好きだといってもどこでどんな犬をゲットしたらいいのかわからないことだらけ。ましては日本とカナダではペットとしての犬に対する扱い方も違う。そこで今回はK-9 Aspect Training Incの代表兼ドッグトレーナーのロズ・ウェイさんに犬を飼うにあたってのイロハを聞いた。


 

自分にあった犬を見つける


 やはり最初に思いつくのは、ショッピングセンターなど身近なところにあるペットショップ。ショーウインドウにかわいい子犬が戯れているのを見て「この犬かわいい。この子が欲しい!」なんて思う経験は誰しもあるだろう。ところが「ペットストアで売られている犬の大半がPuppy Millsから」とロズさんはいう。このPuppy Millsとは日本語では子犬工場と呼ばれ、衛生管理の乏しい小さな檻に雌犬を次々と閉じ込め、「商品」としての子犬を「生産」するために、年に数度の交尾を重ね、妊娠、出産を繰り返すことで一定の種の犬を繁殖させる非人道的施設。ペットショップで犬を買うということは子犬工場を支援しているようなもの。また不衛生かつ非人道的な管理下だからこそ母親の雌犬の健康状態も優れず、生まれてくる子犬も心身共に健康問題を抱えているケースもある。

 

***アニマルシェルター***
 そこでロズさんがまず勧めするのはSPCAなどのアニマルシェルターだ。シェルターはそれこそ子犬工場とは全く逆で動物を助け里親を探すところでもある。営利目的ではないため、犬の歴史も包み隠さず正直に提供してくれる。また動物のことを一番に考えるからこそ、シェルター側はもらい手についての情報も要請する。適切なもらい手かどうか判断されてから希望する犬の里親となれる。http://www.spca.bc.ca


***ブリーダー***
 純血種にこだわる人はブリーダーを訪ねるのが良いだろう。そもそもブリーダーとは特定の種の犬が好きでその種の繁殖を望み育てている人のこと。だがビジネス目的のブリーダーもいるので気をつけたい。ロズさんの言う良いブリーダーとは「自分が育てた大切な犬だからこそきちんとした家庭で育ってもらいたいと願うブリーダー」。だから買い手がどんな人なのか色々と質問してくるはず。ブリーダーから、何の質問もない場合は赤信号だと思って他を訪ねるのが良策かもしれない。
 また買い手も、良いブリーダーを見極めるために以下のことに留意したい。

●どのくらいブリーダーをしているのか?=経験があるほうが安心できる

●ドッグショー(犬の品評会)に出場した経験は?=ショーに参加しているからといって良いブリーダーとは一概に言えないが、力を入れていることは伝わる。

●犬の健康状態(寿命、遺伝的問題、餌の種類、社会生活に適応させるためどんなことをしているのか、産みの親に会えるか)=特にビジネス目的でブリーダーをしている人は、犬の精神衛生問題を見過ごしている場合が多い。親犬や兄弟犬を含め飼い主や他の人間とのふれあいを充分持たなかった子犬は成長するにあたり問題行動を起すことが多いので気をつけたい。また産みの親犬を見ることで成長したときに、外見、サイズ、性格など、どんな犬になるのか予想がつく。

●リファレンス=実際にこのブリーダーから犬を買ったひとに連絡し犬の状況について尋ねる。

●相場$1200-1500

 

 

犬を選ぶポイント


 犬も種類によってエネルギーレベルが違う。自分の普段の運動量と比較して選びたい。例えばカナダで人気のボーダーコリーのような牧羊犬や日本でも人気のジャックラッセルテリアなどのテリア種は活動的でエネルギーをしっかりと発散する必要がある。散歩をするのが億劫な飼い主よりも、長時間の散歩やジョギングが好きな飼い主のほうが犬にとっても飼い主にとっても最適だといえる。また犬の性質も調べておきたい。かわいいだけの外見で選んでは後で後悔することが多々あるので下調べは忘れずに。

***犬をしつける***
 「しつけは家に初めて迎えた時点で始めるべき」とロズさんは強調する。犬は賢い動物だから甘やかしてくれる飼い主の性格をいち早く理解するという。「まだ小さいから・・・家に慣れるまで・・・」なんていっている暇はないようだ。

 そこでまずはルール作り。トイレの場所を教えたり、犬が入ってもいい領域、例えばリビングリームとダイニングルームには入ってもいいが、台所と寝室には入ってはダメといった犬と飼い主の境界線をはっきりさせる。また餌をやる際は、犬のお皿から飼い主が手にとって食べるマネをしたり、あるいは実際にクッキーを食べたりと、飼い主が先に食べることによって(食べるマネをすることによって)、誰が犬の主人であるかを明確にし、主人の後に犬が食べるといった規律があれば良いという。

 また社会生活へ適応させることも大切。病気を防ぐために子犬の頃は他の犬と全く遊ばせないほうが良いという意見もあるが、常識内で行動したい(例えば糞だらけで不衛生なドックパークは子犬のうちは避けるが、近所の犬とは遊ばせるなど)。子犬の頃から他の犬や人間と交わらないと、大きくなってから他の犬や人間を見るたびに吠えたり咬んだりと攻撃的になったり、逆に極端に物怖じしてしまうなど、外の世界とうまく接触できなくなるという。近所の犬や友だちの犬と遊ばせたり 、デイケアに預けたり、また自分でオーガナイズしてPuppy Partyをするなど接触の機会を与えたい。

 またカナダではPuppy ClassやBasic Obedience Courseに参加させるのが日本よりは主流のよう。ロズさんの学校では6週間のコースで、1クラス4〜6匹が平均。多すぎず少なすぎない学校を選びたい。基本的にPuppy Classでは子犬に自制力と自信をつけながら、社会生活にスムーズに順応できるよう、しつけを通して訓練する。また飼い主も犬の『良きガーディアン』となるよう訓練される。Puppy Classを卒業したらBasic Obedience Courseを受講して犬と飼い主の関係をさらに高めることができるだろう。参考までにグループレッスンの値段だが、ロズさんの授業は週に1回(60-90分)、6週間のコースで$150前後となる。

K-9 Aspect Training Inc
K9Aspect@shaw.ca

(取材 小林昌子)


ロズ・ウェイ(Roz Wei)
UBC心理学卒。現在K-9 Aspect Training Inc でオーナー兼トレーナーとして活躍する傍ら、ノースバンクーバーのK9 Leadership、コキットラムの the Urban Barkeryなどでもトレーナーとして活動中。

写真:ロズさんの愛犬ジャーマン・ピンシャーのニコとイングリッシュ・スタッフォードシャー・ブルテリアのイバと共に。