MAPLE 2009
2009年3月12日 第11号 掲載
 

パラリンピック1年前カウントダウン!!
 テスト大会で活躍する日本代表、バンクーバーに向け確かな手ごたえ!!



試合終了後、応援してくれたファンと一緒に記念撮影

 2010年3月12日のパラリンピック開催まで、あとちょうど1年となった。バンクーバーとウィスラーでは2月後半からパラリンピック競技のテスト大会を兼ねた国際大会が続々と行われている。

 バンクーバーで2月28日に終了した車いすカーリング世界選手権では、日本代表は出場していないながらもパラリンピック出場第1号を決めた。ウィスラーでは、3月4日からIPCクロスカントリー、バイアスロンが開催され、新田選手が3位に入った。

 続々と行われるパラリンピック会場での国際大会で、選手、コーチ、スタッフは来年に向け、一様に手ごたえを感じているようだった。


 

目指すはバンクーバーの表彰台!
アイススレッジホッケー日本代表インタビュー


 パラリンピック花形種目アイススレッジホッケーのテスト大会として、2月24日から3月1日までの日程でカナダカップが開催された。


キャプテン上原選手。スティックの柄についている金具が引っ掛かるため、ユニフォームには穴があいている



 会場は来年の本番と同じ、UBCサンダーバードアリーナ。コンクリートのにおいが抜け切れていない新築会場で、日本代表は多くのファンを魅了した。

 アイススレッジ日本代表は2月22日にバンクーバー入り。予選3試合、決勝ラウンド2試合をこなし、3位となった。ドイツとの3位決定戦ではシュートアウトまでもつれ、息詰まる緊張感の中、キャプテン上原選手の決勝ゴールで勝ちをもぎ取った。

 

反省点と収穫


 多くの競技がそうであるように、大会ごとに反省点と課題を見つめなおし、収穫を確信に変え、次の試合に臨む。今大会で日本代表は大きな収穫と次につながる課題が見つかった。

 「今回、どの試合でも、先取点を取られてもズルズルと引きずらずに、気持を切り替えて、試合中に一度追いつける力がついていたことが一番大きな収穫だった」とキャプテンのFW上原大祐選手は3位決定戦が終わった後に語った。「チームの状態は上がってきている感じです。今回(第2日)アメリカにも5年ぶりぐらいに勝って、カナダ戦も攻めていい乗りで来ていていい雰囲気でした。カナダ戦には正直勝てるかなと思っていました」とキャプテンとして明と暗が見えた大会だった。

 反省点は多くの選手がそれぞれにあげていた。DF遠藤隆行選手は、カナダ戦を振り返って「アイスタイムが長かったし、最後の最後で切れちゃったのもディフェンスだったかなというのが反省ですね」と、第3ピリオド残り5分で3点を入れられたことを悔やんだ。


激しいチェッキングもスレッジの魅力。
カナダのキャプテンに押されるFW高橋選手



 アシスタントキャプテンのFW矢口敦也選手は、「ああいうところ(カナダ戦第3ピリオド後半)の精神力の持っていき方というのも課題ですね。先取点を取って気が抜けたわけじゃないですけど、やっぱもう1回(気持ちを)締めるということが必要ですね」と語った。

 中北浩仁監督は、「決定力をどこまで上げるかというのが課題です」とシュート数がカナダを上回っていたにもかかわらず負けてしまったカナダ戦を例に挙げた。あとは、ポジショニングの徹底、トリノの時のような予想外の展開になった時も動じないメンタリティーの安定などを挙げ、あと1年でしっかり修正していくと語った。

 

「会場は暑い!!」



ベンチの様子。壁は透明で選手からも試合が見えるようになっていて、下には氷が敷き詰められている。立って腕組をしているのは中北監督

 会場の印象を聞いてみると、「暑い!!」とアシスタントキャプテンFW高橋和廣選手が笑った。「普段合宿なんかは寒いところでやってて、ベンチでもマイナス何度とかなんで、こっちはベンチで気温を測ると10度くらいはありましたね」と矢口選手。「毎回ありますよね。いいリンクに行くと暑いというのは」と高橋選手が説明した。

 ただ、話を聞いた選手に共通していたのは、とても使いやすいリンクであるということ。「ベンチが氷というのがありがたい」とDF須藤隆行選手。矢口選手、高橋選手も、「ベンチに氷が張ってあるのはいいですね。チェンジがしやすい。スケートの刃が痛まない」と使いやすさに感心していた。


 選手たちの交代をスムーズにするためにベンチ内に氷を敷き詰めるというのを考案したのはカナダチームのコーチ。トリノでもすでに採用されていて、さすがホッケー王国ならではのアイデアだ。ただ、監督、コーチは、その上に2時間立ちっぱなしとなるのでちょっと大変そうだった。

 

バンクーバーは9・11以来


 選手たちにバンクーバーの印象を聞くと、9・11以来という答えが揃って返ってきた。2001年9月11日、遠征のためにアメリカに向かっていた日本代表は、あのアメリカ同時多発テロの影響で、急きょバンクーバーに着陸。その時1週間バンクーバーを観光して以来だと笑っていた。


カナダのシュートを止めるGK永瀬選手

 FW柴大明選手は、「あの時は、なにもすることがなくて毎日どうしようかって観光してましたよ」と笑って振り返った。バンクーバーの印象はこれまでの大会開催地に比べてかなり大きいと話した。

 他にも日本人、日本食レストランが多いことなどが印象的というのが多く、外国に来た気がしないと語っていた。

 

パラリンピックの目標は、ひとつでも上を


 本番会場での試合を経験した選手たち。GK永瀬充選手は「これで来年が(プレーするのが)初めてではないので大きなアドバンテージですね」と語り、矢口選手は、「プレ大会ということで、データを収集することと、会場に慣れるということなどの準備ができた」と競技以外のことでも収穫があったと語った。

 中北監督は「今回はパラリンピックのシミュレーションみたいな形でイメージはできてきたと思います」と来年の戦いに向けての日本代表のイメージをつかんでいた。ただ、選手村がまだ完成していないことで、選手村での選手の宿泊状態や移動などが確認できず、これについては後日また調査する必要があると語った。


相手ドイツのゴール前での激しいぶつかり合い。吉川選手(左)

 

 

来年のバンクーバーでの目標


須藤選手:いいところを伸ばして、ミスを少なくできるチームを作れればいいと思います。

安中選手:チームがいい雰囲気のまま大会を過ごせれば、必ず結果はついてくると信じています。

石井英明選手:今回初めてなんですけど、このチームの雰囲気の中でやっていきたいと思います。

矢口選手:メダル獲得。色は贅沢は言わないけど(笑)。

高橋選手:金色を取って100万を取ること(笑)。

永瀬選手:ひとつでも、2つでも上を狙って。一つ一つの試合を勝ってやっていれば、結果は自然についてくると思います。

上原選手:ひとつでも高い表彰台を目指します。


対ドイツ3位決定戦。同点ゴールが決まり喜ぶ日本人ファン

(取材 三島直美 / 写真 丸山勧、小川学)

 

パラリンピックチケット情報
 パラリンピック競技のチケット販売は、5月6日から、バンクーバーオリンピック・パラリンピック冬季競技大会組織委員会(VANOC)ウェブサイトで開始される。

 チケット価格は、ウィスラー競技は各15ドル、バンクーバーでのアイススレッジホッケーは20ドルから50ドル、車いすカーリングは15ドルから30ドル。BCプレースで行われる開会式は30ドルから175ドルとなっている。

 詳しい情報は、VANOCホームページvancouver2010.comに掲載されている。