SPECIAL 2008

2008年4月17日 第16号 掲載


スモークサーモンの老舗
サーモンビレッジ20周年!


社長の五明明子さんと、明子さんの実弟の工場長の松本雄一さん

ダウンタウンの中心部、サーローストリートに面する明るい店は、世界中の人々が訪れる

一番人気の紅スモークサーモン。スタッフのロバートさんは福岡弁も上手



やっとここまで来たと感謝の気持ちでいっぱい
 「ハタチになった、成人になったという感じですね。あっという間の20年でした。いいものを作って、みなさんに納得してもらってお買い上げいただいて、ロケーションの良さにも助けられてここまで来ました。お客さまへの感謝の気持ちでいっぱいです」

 そう語るのはサーモンビレッジ社長、五明(ごみょう)明子さん。会社創設20周年を迎え、これまでに思いを馳せ、しみじみとした表情だ。それに続けて、工場長である明子さんの実弟、松本雄一さんも感慨深げにこう語った。

 「2001年の9・11、そして2003年にはSARS。カナダを訪れる観光客が激減した、この時が一番大変でした。その後カナダドルが強くなり、日本からのお客さんは減る一方でしたが、ユーロ高の影響でイギリスやドイツからのお客さんが増え始め、最近はメキシコ、韓国、中国のお客さんに加え、カナダローカルのお客さんも増えてきました」

 ルフトハンザやJALのクルー、トロントやモントリオールからの出張で来たビジネスマンなどにもリピーターは多い。最近は、バンクーバーやウィスラーの日本の居酒屋、お鮨屋さんやカフェからも注文があり、オードブルやサンドイッチなど、店によっていろいろな形でサーモンビレッジの商品が浸透している。

自然な美味しさを届けたいから、添加物はいっさい使わない
 「自慢は?」と尋ねると、「やはりスモークサーモンの味と品質です。BC州の沿岸で採れたサーモンに、塩と黒砂糖、カナダの天然木の胡桃の木の煙以外は一切使っていません」ときっぱりと答える松本さん。原材料もカナダ産のものにこだわり、着色料や保存料、化学調味料などはいっさい使用していない。

 「もともとの魚の質がよくないと、どんなに手を加えても美味しくはならない。だから、鮮度のいい魚を手に入れることを大切にしています」と松本さんは真摯なまなざしで語る。スキーナ川を上り始める前のサーモンは脂がのっていて美味しいのだと言う。

 「それにスタッフですね。一生懸命で長く働いてくれるスタッフに支えてもらっています。生ものを扱っていますから、お客さんに安心して買ってもらい、持ち帰ってもらうまでのアドバイスがきちんとできるベテランのメンバーがそろっています」

 お客さんが持ち帰るホテルには冷凍庫があるかどうかまで、スタッフは頭に入れているのだと言う。売り場、工場、合わせて15人のスタッフはみな、豊富な知識と経験を兼ね備えたメンバーだ。

どんな困難も乗り越える自信がついた
 さて、サーモンビレッジの誕生は、明子さんと前社長の五明良明さんの出会いに遡る。ふたりが出会ったのは、なんとコスタリカ。当時、政治経済を学んでいた留学生の明子さんと、青年海外協力隊の柔道の指導員として派遣されていた良明さん。中米の国で偶然出会ったふたりは日本で結婚し、1980年、カナダに渡った。

 バイタリティーあふれるアイデアマンの良明さんは、86年、グランビルストリートにある魚屋の冷凍庫を月500ドルで借りながら、ほとんど資本金もないまま商売を始めた。そこでスモークサーモンがよく売れることに気づき、2年後の88年にサーモンビレッジをオープンさせたのであった。最初は現在の半分の店舗だけのスタート。それからさらに発展させ売り場面積を2倍に広げた。さらに自分の目で選び、自分の手で作りたい、と良明さんは、自社工場の構想を膨らませる。

 そのころ、奥さんの明子さんはUBCの商学部で経営学を学び始めた。バンクーバーの旅行会社でアドミマネージャーとして働く中で、人に指示を出し、管理するのはそれなりの自信がないとできないと思い立ったのがそもそものきっかけ。2年間の学生生活が終わるころ、もともと水産畑にいた良明さんが、自分は工場で作る方に専念し、売る方は明子さんに任せたいと提案し、自然な流れの中、明子さんも店の経営全般に携わることになった。

 「大学で学んだことは、人事、会計、ファイナンス、マーケティングなど、実用的な内容だったのでとても役に立っています。おかげでどんな困難があっても、自分で解決する自信がつきました」

 自分でプロジェクトを作るケーススタディーの授業では、スモークサーモンの工場のビジネスプランを作り、それがそのまま後に実現。1993年、ノースバンクーバーに自社工場がスタートしたのだった。

20年間守り続けた味と品質
 その後、さまざまな波を乗り越えながら、サーモンビレッジは展開を続けていた。そんな中、2003年、良明さんが太平洋のロタ島で海難事故で亡くなってしまう。店の経営だけでなく、工場の管理までも明子さんに任されることになった。

 「突然亡くなったときはどうなるかと思いましたが、スタッフがすごくサポートしてくれて、ここまで来れました」と明子さんは当時を振り返る。事故の1年前から工場で働いていた弟の松本さんの存在も明子さんにとっては大きかった。

 「サーモンビレッジを最初から作った前社長は、アイデアが豊富で、思いついたらすぐ行動、とにかく人を引っ張っていく力のある人でした。その後、なんとか引き継ぎ、品質も維持しています。これからはさらに技術を高め、精度を上げて、タイミングを見ながら新しい一歩を踏み出していきたいですね」とこれからの抱負を語る松本さん。

 20年間守り続けた味と品質。それは、夫婦の絆、姉弟愛、スタッフのチームワーク、お客様に対する真心、仕事に対する誠実な姿勢・・・など目には見えないさまざまなものがあってのものなのだろう。店のショーケースの上の写真には、大きな魚を釣り上げた良明さんがいつも微笑んでいる。

サーモンビレッジ人気ベスト4!

1位:紅スモークサーモン
 スモークの香りとあっさりとしたナチュラルな味 わいがたまらない!ファン多し。
2位:レトルト紅スモークサーモン
 日持ちするのが利点。ギフトに最適。
3位:オリジナル・ジャーキー
 これ以上のお酒のつまみがあるだろうか?食べ だしたら止まらない。でもヘルシー!
4位:インディアン・キャンディー
 黒砂糖に1週間漬け、メープルシロップで味付 け、ブラックペッパーで仕上げ、と3段階もの 手の込みよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

サーモンビレッジ(Salmon Village)
住所: 779 Thurlow Street, Vancouver
電話:604-685-3378
Web: http://www.salmonvillage.com

 

 

 

 

 

(取材 西澤律子)