SPECIAL 2008

2008年4月3日 第14号 掲載


在バンクーバー日本国総領事館主催
「社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定」説明会開催


申請方法について説明するカナダ社会開発省のファソジアニス氏

午前、午後の部にそれぞれ会場満席の90人が出席した

写真右より、社会保険庁の白坂和正、小泉茂、飯島真一各氏



 日本とカナダとの間で生じている「年金保険料の二重払い」の問題および「保険料の掛け捨て」の問題を解決することを目的とする日加社会保障協定が3月1日に発効となった。これに先立ち、去る2月14日、在バンクーバー日本国総領事館多目的ホールで同協定発効に関する説明会が行われた。

 日本側からは、社会保険庁より白坂和正・国際事業室長補佐、小泉茂・国際事業室国際年金通算調整専門官、飯島真一・社会保険業務センター業務部業務渉外課年金給付専門官が説明にあたった。質疑応答の後は、カナダ連邦政府より社会開発省のファソジアニス氏が申請方法などを説明した。
(以下は説明会からの要約)

日加社会保障協定の概要
●社会保障協定の趣旨
 国際的な人的交流が活発化される中で、海外で就労、派遣される日本人・カナダ人が増加している。現在、両国の年金制度において、(1)保険料の二重負担、(2)保険料の掛け捨て、つまり将来の年金に結びつかないという問題が生じている。これらの問題を解決するために、2国間で社会保障協定が終結された。
           
●保険料の二重負担の防止
 長期的に派遣される人やカナダの事業所に現地採用された人は、カナダのCPPに加入することになる。ただし、日本の事業所からカナダの事業所に一時的(原則5年以内)に派遣される人は、引き続き日本の制度に加入し、CPP加入が免除される。また日本の自営業者がカナダで一時的に自営活動を行う場合も、一時派遣者と同様に取り扱われ、CPPへの加入が免除される。

 なお、国民年金の任意加入者については、二重加入を防止せず、本人の意思で継続して加入することができる。

日本の年金制度(概要) (※図1)

年金制度への加入対象者
老齢年金の受給要件

被雇用者
自営業者
無業の人
受給開始年齢
最低加入期間
加入義務あり 日本国内に住所を有する場合、加入義務あり
(20歳〜60歳)
日本国内に住所を有する場合、加入義務あり
(20歳〜60歳)
65歳(国民年金)
60歳(厚生年金保険)
*厚生年金保険については、生年月日に応じて段階的受給開始年齢が引き上げられる。
25年

 

 

 

 

 

 



●保険料の掛け捨ての防止

 これまでどおり、日本で納めた期間の年金については、日本政府より支給。カナダのCPPに関してはカナダ政府から支給。それぞれの国から別々に支払われることになる。

 CPPの各暦年の保険期間を、日本の保険期間12カ月と換算する。日本の保険期間が少なくとも3カ月以上ある場合、1暦年をCPPの保険期間1年と換算する。

 OASカナダ老齢保障年金によるカナダの居住期間は、日本の年金制度に通算できない。日本の保険期間の暦月が、カナダの居住期間として取り扱われる。

●期間の通算の考え方
 日本の年金制度から将来老齢年金を受けるためには、原則25年以上の年金加入期間が必要だが、日本国籍を有する人が20歳から60歳までの間に海外に在住した期間は「合算対象期間」として年金加入期間と同じ取扱いを受けるので、年金加入期間と合算対象期間をあわせて25年以上あれば、将来老齢年金を受けることができる。

 今回の協定発効後は、日本の年金加入期間だけでは25年を満たさない場合に、CPPの加入期間(1952年以降)を重複しない限りにおいて通算することができるようになった。この際、日本国籍の有無に関係はない。
           

日加社会保障協定に関する手続き
 一時派遣者の場合、日本の事業所が社会保険事務所に申請し、適用証明書を交付してもらう。それを一時派遣者はカナダの勤務先に提出する。

 協定発効前は、日本年金の申請は、日本の年金担当窓口へ、カナダ年金の申請はカナダの年金担当窓口で行う必要があった。協定発効後は、カナダの年金担当窓口(Service Canada)で、日本年金の申請が可能となる。また日本の年金担当窓口(社会保険事務所)で、カナダ年金の申請が可能となる。

 年金を受給できる年齢になった時点以後に、日本またはカナダの年金担当窓口へ、裁定請求書および必要書類を提出する。

 日本の期間のみでは受給資格要件を満たさず、CPPの期間を通算するカナダ居住者が、カナダの実施機関を通じて日本年金を請求する場合の流れは次の通り。申請者は「国民年金・厚生年金保険裁定請求書」(老齢年金・障害年金用CAN/J1用紙、または遺族年金用CAN/J2用紙)をカナダの実施機関に提出。そこから社会保険業務センターに申請者のカナダ期間が報告され、日本年金裁定結果が申請者に直接通知される(図2参照)。

図(2)

図2

 

 

日本の年金給付の概要
 受給権発生日の翌月分から支給される。原則として年に6回(偶数月)、1回につき2カ月分が支給される。年金の支払いの時効は5年。5年を越えて申請した場合、5年以上前の年金は時効により支給されない。

質疑応答
 3時間にわたる説明会には、午前、午後の部にそれぞれ会場満席の約90人ずつが出席し、この件に関する関心の高さを示した。以下は質疑応答の例:

Q. 日本で加入していた国民年金・厚生年金保険についての記録は、どのようにして確認できるのか?
A. 働いていた会社名、所在地、職種、期間などの情報をまとめ、社会保険庁に問い合わせる。日本ではすでに、基礎年金番号が発行され、統一された。日本での年金記録はカナダでは確認できないので、日本の社会保険事務所に問い合わせ、過去にさかのぼって調べ、日本での加入期間を確認する。

Q. 日本国籍を有するが、日本に住所はなく、カナダで雇用されている場合、日本の国民年金を払わなくていいのか?
A. 海外に在住する日本国籍を有する20歳から65歳までの人は、国民年金に任意加入することができる。国民年金の任意加入の手続きについては、日本国内に親族などが住んでいる場合は、その人に協力者になってもらい、協力者を通じて、最後に在住していた市区町村の窓口で行う。現在、海外に居住していて日本国内に協力者がいない場合は、日本国内における最後の住所地を管轄する社会保険事務所が窓口となり、そこで本人が手続きを行う。

Q. 25年に満たない場合はどうしたらいいのか?
A. 日本の国民年金は、60歳から70歳までは任意で加入できる。特に65歳までは誰でも加入できる。

Q. 日本を出国した証明を手に入れるには?
A. 法務省に出入国記録の情報開示を請求することができる。

カナダ側社会開発省からの話
・カナダはすでに49カ国と社会保障協定を結んでいる。
・協定発効後は両国の社会保障制度のもと、移住者は両国の年金加入期間を通算し、年金受給の権利を持つ。協定発効前の期間であっても、通算に際して有効な期間となる。
・日本の年金加入期間が月単位であるのに対し、カナダ年金制度の加入期間は1年を単位としている。
・CPPには最低加入期間の要件がないため、日本の年金加入期間を通算しなくとも受給することができるが、障害年金および遺族年金には最低加入期間と同様の要件があるため、この通算措置により受給が可能となる場合がある。受給は60歳から。
・OASの申請は64歳から受け付けることができる。協定発効後、カナダの居住期間だけでOAS受給に必要な期間を満たさない場合、日本の年金加入期間を通算することができるようになった。なお、居住期間とは18歳以降からが対象。
・OAS受給者がカナダを去る場合、その人が居住期間20年を満たしていなかった場合、年金は出国した月とその後6カ月のみ支払われることになる。
・カナダから日本に行って働く人は、協定発効後、最高5年までCPPの継続が認められる。その間、日本の年金制度加入は免除となる。その際、Certificate of Coverage(5年まで可能。延長も可)を発行してもらう。同書は、その人がCPPに継続して加入しているため、日本の年金制度加入を免除されるという証明書。CPT122用紙と共に、Canada Revenue Agency (カナダ歳入庁)に申請する。

協定の対象となるカナダの年金給付

年金制度 
最低加入年数条件

退職年金

CPP:なし。
1年でも加入期間があれば受給が可能
老齢年金
OAS:受給するためには、カナダ国内の居住者の場合、居住期間10年が必要。カナダ国外の居住者の場合は、カナダでの居住期間20年が必要。
障害年金
障害の発生直前6年間のうち4年間。
ただし納付期間が25年ある場合は、6年間のうち3年間
遺族年金
保険期間中1/3以上の納付期間
(最低3年、最大10年)


 

 

 

 

 

 

 

 


サービス・カナダ・センター(Service Canada Centre)
年金に関する問い合わせ 1-800-277-9914 

国民年金・厚生年金保険裁定請求書CAN/J1, CAN/J2用紙のダウンロード
http://www1.servicecanada.gc.ca/cgi-bin/search/eforms/index.cgi?app=list&group=all&lang=e

社会保険庁ホームページ 「各国との社会保障協定」
http://www.sia.go.jp/seido/kyotei/index.htm


(取材 ルイーズ阿久沢)