SPECIAL 2008

2008年3月20日 第12号 掲載


日加商工会議所主催の不動産セミナー開催される


弁護士・日加商工会議所長
ゲーリー・マトソン氏(Remedios & Co.)

モーゲッジスペシャリストハィディ・浜野氏
(The Mortgage Group)

不動産エージェント
マット・カドゥオル氏
(Multiple Realty)

不動産エージェント
村上丈二氏
(Sutton Group West Coast Realty)

不動産エージェント
中谷陽里氏
(Oak West Realty Ltd.)

講師の話に熱心に聞き入る参加者



 2月28日、誰もが関心を持っている不動産についてのセミナーが、日加商工会議所の主催で開催された。会場となったJTBリッチモンドには、スペシャリストからまとめて意見を聞ける貴重なチャンスと約40人が集まり公演内容に熱心に耳を傾けていた。

今回の講師は以下の5人
弁護士・日加商工会議所会長:
 ゲーリー・マトソン氏(Remedios & Co.)
モーゲッジスペシャリスト:
 ハィディ・浜野氏(The Mortgage Group)
不動産エージェント:
 マット・カドゥオル氏(Multiple Realty)
不動産エージェント:
 村上丈二氏(Sutton Group West Coast Realty)
不動産エージェント:
 中谷陽里氏(Oak West Realty Ltd.)


<1>不動産購入の際の支払いや契約書についての注意点
 最初にマトソン氏が開会の挨拶のあと、弁護士の観点から不動産購入時に注意すべき点を、特に税金と契約書を中心に説明をおこなった。

● 税金など諸経費について
 住宅を購入すると、消費税、不動産譲渡税、固定資産税などが課せられる。
1.消費税(GST)。新築物件の場合には5%の連邦税が課せられるが、一定の条件を満たしていると払い戻しを受けられる。
2.不動産譲渡税、これはBC州の税。最初の20万ドルまでは1%で、それを超える部分については2%となる。つまり高級な家になるほど高額になるシステムになっている。本譲渡税はファーストタイムバイヤーで、物件価格が42万5000ドル以下の場合は免除となる。
3.固定資産税(Property Tax)。これは市の税金で、市の資産査定額に基づいて課せられる。
4.また税金ではないが、上下水道(Utility)費用も毎年納入しなければならない。コンドミニアムなどで、プールなどの共用施設があると、その管理費も考慮しなければならない。その施設が立派であればあるほど、額は高くなる。
5.また弁護士への費用も忘れてはならない。
           
● 物件購入の契約書について
 契約書は不動産会社が作成するが、その中の3つの日付に注意すること。
1.Statement of Adjustment Date。その年の固定資産税の支払いを、売主と買主がどのように日割り分担するかを定めた日付。
2.Possession Date。入居日。
3.Completion Date。名義変更の手続きと、それに続く支払い(融資がある場合は、融資資金の支払い請求)を完了する期日。

 もしもCompletion Dateまでに入金できなかった場合は、手付金は売主のものとなる。さらに他の買い手と売買契約が成立した時に、その金額が元の売買契約の金額より低かった場合は、その差額を補償するよう訴えることもある。

<2>モーゲッジスペシャリストの役割
 次に浜野氏がモーゲッジスペシャリストの観点から、いろいろなモーゲッジプロダクトを紹介。

● モーゲッジスペシャリストを利用するメリットの数々
 モーゲッジスペシャリストとは、モーゲッジに関するファイナンスを提供するプロフェッショナルのこと。

 通常、彼らへの報酬は金融機関から支払われるため、利用者は無料でサービスを受けられる。またフレキシブルな時間帯(たとえば夜とか週末など)にコンサルティングを設定できるので、銀行のように営業時間内に出向けるよう自分のスケジュールをやりくりする必要もない。

 またモーゲッジスペシャリストを通じてしかアクセスできないモーゲッジプロダクトもあるため、自分の足で探し回るよりも良いレートのプロダクトを利用できる可能性も高い。たとえば銀行では認められないチャイルド・タックス・ベネフィットやパートタイムなども収入とみなしてモーゲッジの額を算定するところもあり、銀行よりも借りられる額が多くなることもあるとのこと。

 さらに自分のクレジットヒストリーについて興味深い話も。より良いモーゲッジを探そうとあちこちの金融機関に打診(モーゲッジショッピング)を続けると、自分のクレジットスコアが下がっていきモーゲッジの申請に不利になることがある。モーゲッジスペシャリストを利用すれば、一度照会したクレジットスコアでさまざまな金融機関に打診ができるので、その心配はない。
           
● モーゲッジプログラムのいろいろ
 Equityプログラム:20%の頭金を支払うことにより収入証明が免除されるため、実際の収入より高い融資が受けられる。

 移民向けプログラム:移民として入国後3年(商品によっては10年)以内なら利用できる。仕事がなくても、自国からまとまったお金を持ってきたなどの条件によって利用できる。賃貸物件にも利用可能。

 自営業または100%コミッション:Income Tax上では収入の低い人でも収入の自己申請ができるため、高い融資額が受けられる。

 税金控除対象モーゲッジ:モーゲッジとLine of Creditを同時に開設、借りたお金を投資にまわすことで節税効果を狙ったもの。

<3>区画変更が不動産投資に及ぼす影響について
 次にカドゥオル氏が、都市計画が不動産価格に与える影響について、バンクーバーを例に説明をおこなった。

● 区画変更の意味
 そもそも行政がある土地を区画変更(リゾーニング)するのは、次のような理由によることが多い。

1.区画内の世帯数を増やす目的。(児童数が減少している学区など。)
2.工業地帯に隣接しているなどの理由で価値が低迷している土地を、他の地域と同程度の価値に高めたい。

 また同じ理由から軟弱地盤(ピート)地域についても区画変更されることがある。このような土地の一般住宅は次第に傾斜、変形してしまうことがあるが、基礎を深く打ち込む高層ビルであればこの問題はなくなるので、区画変更によって高層ビルの建築を促し土地の価値を高めようという狙いだ。

 このように区画変更が予定されている場所は人々の注目を集め、発展していくように計画されているため、区画変更後は不動産価格の上昇が見込まれることが多い。

● 区画変更の例
 区画変更の例としては、たとえば一つの区画に二つの家の建設が可能となるものがある。バンクーバーでは1995年からそのような区画が設定され始め、2年前にはナイトストリートとキングスウェイ近辺に適用された。また区画変更計画は公開されているので、その計画を調べ、変更が施行される前にその場所の不動産を購入すれば、効率の良い投資となりうる。

<4>不動産市場の動向と今後
 次に村上氏が今後の不動産市場の動向について、不動産平均価格のグラフを用いて解説した。

● 不動産価格の推移
 過去30年間、メトロバンクーバーの不動産価格は過去何回かのピーク(81年、89年、95年)とそれに続く下降を経験。その後03年に95年当時の高値を超してからは、現在に至るまで順調に上昇してきた。またそれぞれのピーク時の価格は、その一つ前のピーク時の価格のほぼ2倍となっている。ちなみに現在の価格の88万ドル弱(一戸建て)は、前回のピーク(03年)時の価格(約43万ドル)のほぼ倍の値に達した。

 気になる不動産市場の今後の展望についてはさまざまな意見が出ているが、今後どのような動きになったとしても、またいつ購入することになっても、不動産購入のアドバイスとして次のことが言える。

 自宅用の物件ならば、まず購入を考える。不動産を持っていなければ不動産市場に参加することが出来ず、もし将来市場が上昇しても恩恵を受けることはできない。

 つぎにモーゲッジの動向に注意を払う。現在は40年来の低金利で、カナダ銀行は去年に引き続き今年も引き下げた。そろそろ金利の底という見方もできる。

<5>不動産投資のパターンと事例紹介
 最後に中谷氏が不動産投資について、実例をまじえながら紹介した。

不動産投資の3つのパターン
■ 短期パッシブ投資(リノベーションなし)
投資のプロファイルとしてはローメンテナンス、ハイリスク。期間としては60カ月程度まで。
利益のターゲットは短期間家賃収入と短期間キャピタルゲイン。
不動産価格が右肩上がりで上昇している期間であれば、安い物件ほど高い上昇率が見込まれる。

■ アクティブ投資
投資のプロファイルはハイメンテナンス、ハイリスク。期間は60カ月程度まで。利益のターゲットは短期キャピタルゲインと不動産価格の短期間増加。効率のいい物件は、「絶好の場所にある最悪の家」。見込める価格の上昇が、リノベーションその他にかかる費用を上回るのであれば、実行。

■ 長期間不動産投資
投資プロファイルはローメンテナンス、ローリスク。この手の投資をする人は他の投資をしている場合が多い。期間は10年以上。利益ターゲットは長期間家賃収入、長期間キャピタルゲインと家賃・不動産価格の固定増加。

 成功のカギは1にロケーション、2にロケーション、3にもロケーション。

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 講演後、短い時間ではあったがモーゲッジや不動産投資の秘訣などについて、活発な質疑応答がなされた。


(取材 平野直樹)